約 566,028 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/908.html
社員ゆっくり ※現在の地球とは少しだけ軸がずれたパラレルワールドだと思ってください ※ゆる虐待は多少ありますが、愚鈍で高慢なゆっくりをボコボコにしたい方には合わないと思います。箸休めにどうぞ。 ※お兄さんと劇中の飼われゆっくりは仲が良いです ※作品中に登場する会社名等は実在のものとは一切関係がありません ゆっくりが出現して20年程、元々は野山に住んでいたゆっくりは徐々に人里に下りていき、街へも進出しだした。 当初はゴミを荒らし、住居に侵入したりとやりたい放題であったが、当然ながらそういったゆっくりは人間によって即処分される。 その結果、(ゆっくりにしては)頭がよく賢い、それでいて比較的気性の穏やかなゆっくりが残り、そして繁殖を繰り返した。 頭がが良く穏やかなゆっくりであれば当然人間に迷惑をかけることも少ない。となると殺されることも少なくなる。 街ゆっくりは今では人間の(それなりに)良きパートナーとして生き残っていた。 「ただいま」 男がそう言い玄関の戸を開けるとまりさが廊下をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。 「ゆっくりおかえり!!」 このまりさはもう1年ほど前から男が飼っているゆっくりだ。野良犬に襲われていた横を通りがかっただけなのだが なぜか犬がそのまま逃げてしまいまりさは男のおかげだと泣きながら感謝し、それから懐いてしまったのだ。 どうやら飼いゆっくりだったらしいのだが、飼い主の事情で捨てられてしまったらしい。 変に媚びることもなく淡々と語るまりさを見て最初は「まぁいいか」くらいの気持ちでペットにしたのだが、 実際は一人暮らしの寂しさを紛らわせたかったのだ。 今となってはペットというよりは居候といった感じだが。 「ゆっ!おつかれさま!おみやげは?おみやげは?」 「あ?別に出張でもないし特に何もないぞ。つうかおまえ毎日それだな!」 「ゆぐっ・・・だってまいにちひまだし・・・おにいさんおかねくれないからあそびにもいけないし・・・」 そう言ってまりさは口をとんがらせてすねていた。 人間の社会に入り込んだゆっくりは貨幣の概念を理解している。ゆっくり用のグッズを販売する店や ゆっくり用のレジャー施設も存在し、ゆっくりだけで買い物に行っても極普通に対応してもらえるので お小遣いを与えられたラッキーなゆっくりでいつもごった返していた。 「働かざるもの食うべからずという言葉を知っているか。」 「ゆぅ・・・おにーさんからなんどもきかされたからしってるよ・・・」 「ならそういうことだ。三食屋根付きなだけでもありがたいと思うように。」 この社会にも野良ゆっくりは存在する。昔に比べて賢いゆっくりが増えた分人間もそれ相応の対策はとってある。 ゴミ捨て場などもカラスはもとよりゆっくりにも破られないようにいろいろ改良がなされている。 となるとそこらの雑草や花を食べるしかない。だが賢くなったゆっくりは人間の所有する整備された花や植物を 勝手に食べるとどうなるかは知っていた。よほど危機的な状況ならば分からないが、まずそういった愚挙は犯さない。 まりさはそういった行為をしでかした野良ゆっくりが目の前で潰されたり保健所に連れて行かれた場面を何度か見ている。 そんな生活はごめんだった。 中には人通りの多い場所で物乞いをするゆっくりもいたが、同情を誘うためか酷く汚れていたり、自ら片目を潰したり するゆっくりが大半だ。まりさにはとてもそんなことはできない。 家に置いてもらい食事まで頂戴していることはありがたいとは思っていたが、ゆっくりはゆっくりなりに欲もある。 雑誌を見たりテレビをつければゆっくり用おもちゃの広告やらなんやらでその欲求を無駄に刺激するのだった。 食事を済ませ風呂から上がりパンツ一丁の男はまりさと居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。 おやつの笛ラムネを口にしたまりさはピープー音をたてていたので「うるさい」と言われ男に足で軽く蹴られた。 「ゆっくり王国」 まりさが一番好きな番組だ。色々なゆっくりやその生活を取り上げる番組だ。 オープニングタイトルが消えた後スタジオには中に人間が入っている巨大れいむとまりさのきぐるみがドスンドスンと 飛び跳ねている。 その中のコーナーの一つ「ゆっくりお宅拝見!」が始まった。 さまざまなゆっくりが人間の家で暮らしている様子を映し出している。 「この貧乏芸人の家で飼われてるれいむは悲惨だなぁ・・・おい見ろよなんだあの尋常じゃない色の布団のしみは」 「ゆぐ・・・あんなところでねたらかゆいかゆいだね」 「このゆっくり腹話術ってれいむの下から手つっこんでないか?」 「かんぜんにいっちゃってるね!このれいむはもうはいじんだよ!おおこわいこわい」 どうでもいいような話をしながらだらだらする一人と一匹。まりさは笛ラムネを歯で縦に割りバリバリと食べていた。 ボフッ 男が寝たまま放った屁をまともにくらい、「ゆぎゃあ!」と叫び後ろにのけぞるまりさ。 バシンバシンとまりさが尻に体当たりを始める。 「ブーブーはむこうむいてしてっていったでしょ!!!」 ゆっへっへとふざけて笑った男が再びまりさが体当たりしてきたタイミングでブッともう一発おみまいした。 「ゆぎゃぎゃぎゃ!!!」 ごろんごろんと転がるまりさ。 「へこきれみりゃはしね!」 鉢植えの土に敷いていた小石を口に含み男の尻めがけて吹き付ける。さすがに尻への体当たりは危険度が大きいことに気づいたようだ 「こらー散らばすなー、って、おいそんなことよりこのまりさすごいぞ。見ろ見ろ。」 テレビでは既に違うゆっくりが紹介されている。 大金持ちに飼われているゆっくりだった。 お城のような家で飼われているまりさがそこにいた。髪の毛の艶もすばらしく、肌の張りもステキだ。 まりさはテレビを見ながらボーっとして咥えていた小石をぽとりと落としてしまう。 「すごいゆっくりだね・・・まりさのようなしょみんとはべつじげんだよ・・・」 「庶民で悪かったな」 男は貧しいわけではない。むしろ普通より多く稼いでいた。ただ、贅沢を好まない性格なので飾り立てたり 無駄遣いをしないだけだった。単にケチというだけかもしれないが。 ただそれでもまりさ専用の部屋を用意するなどしているあたり余裕がある証でもあるのだが。 テレビの中のまりさは贅沢な装飾品を身に着けたり、高そうな食事を与えられたりしていた。 特注で作らせたゆっくり用天蓋付ベッドでくつろぐ金持ちまりさは優雅に「ゆふふふ」と笑っていた。 「おにーさん!まりさもあんなべっどほしい!!ほしい!!」 まりさは屁のことなどすっかり忘れて飛び跳ねて男に懇願している。 「おまえのベッドで充分だろが、いつも気持ちよさそうに寝てるだろ」 「ゆぐぐぐ!あのくっしょんはおにーさんがすわってぶーぶーするからくさいよ!あんなべっどのほうがいいよ!」 「だめだだめだ、そんなに欲しかったら自分で稼いだ金で買え」 「ゆぎぎぎぎ!」 歯軋りするまりさを無視して男は尻をかきつつテレビを見ている。 お宅拝見のコーナーが終わり次のコーナーへと移っていた。どこかの会社のオフィスらしい。 仕事をしている社員の後ろをゆっくりが歩いていた。 『こちらの会社では社員の癒しを目的としてゆっくりを導入しているそうです。このゆっくりれいむのお仕事は 社員を和ませること。そして簡単な雑務ならこなしちゃうんですよ~すごいですね~広報としてパンフレットにも 登場しちゃったりしています』 レポーターがそう言うと穏やかな顔つきのれいむが 「れいむのおしごとはみんなをゆっくりさせることです!ゆっくりしていってね!」 そう元気よく叫んだ。 場面が変わって休息室でコーヒーを飲んでいる社員がゆっくりの頭をなでている場面が映る。 また別のゆっくりはゆっくり用の台に乗ってコピーまで取っているではないか。 更に別のゆっくりに至っては受付に鎮座し来客に「いらっしゃいませ!」と挨拶をしている。 プレゼン資料を客の数だけまとめてホチキスで留めているゆっくりまでいた。 ひらがなくらいしか読めないゆっくりだが、同じ図柄の紙をそれぞれまとめる程度は出来るようだ。 そのゆっくりはなぜか眼鏡をかけていた。 『なんと!このゆっくり達はこの会社の社員なんです!みてくださいこの社員証を』 リボンについた社員証がアップになり、そこには「れいむ025」と書かれていた。 「このゆっくりは偉いなぁ~ちゃんと働いてるんだね~」 男は少し意地悪くそう呟く。 『しかもこの社員ゆっくりにはちゃんとお給料も出るそうなんです。すごいですね~』 男の意地悪い発言に苦虫を噛み潰したような表情をしていたまりさは「お給料」という単語に反応し、 これだっ!という顔をして叫ぶ。 「ゆゆゆゆゆ!!!!まりさもはたらく!はたらいておかねもちになる!!!」 「おまえが働く?馬鹿言うんじゃないよ。おまえ働くってどういう事かわかってるのか?あ~ん?」 足の先でまりさの頭をぐりぐりしながらからかう男。 「しつれいだね!まりさははたらきたいんだよ!おかねをかせいでおにーさんをたべさせてあげるんだから!」 「ウヒャヒャヒャ!いいねぇ~ゆっくりのヒモかぁ~やれるもんならやってみな~」 相変わらずまりさをからかい続ける男はニヤニヤと笑っていた。 ぷくーっと膨れたまりさはこう続ける。 「やってみなっていったね!?まりさほんきだよ!ほんきなんだからね!!」 男はたわごとだろうと高を括りニヤニヤしたままだった。 「あとおにーさん!ぱんつのすきまからたまたまがまるみえだよ!ぷぷっ!」 まりさの顔に真正面から蹴りが入った。 翌朝 騒がしい音がして男が目を覚ます。 「なんだこんな朝早くから・・・うるせぇな・・・」 眠い目を擦り音のする方を見るとまりさが大量の新聞紙やらちらしを広げて何やらやっている。 「・・・おまえ何やってんだ?」 「ゆっ!おはようおにーさん!まりさはおしごとのれんしゅうしてるんだよ!」 見ると顔の中央に男の足型がうっすらと残ったままのまりさが回収に出そうと部屋の隅に積んでいた新聞とチラシの山を解き、 社会面、スポーツ面、経済面、そして同じような色合いのチラシごとにそれぞれまとめていた。 「きのうのてれびであのこがやってたのとおなじことできたよ!すごいでしょ!」 まりさは腹(?)を突き出すようにしながらフガフガと鼻息を荒くしている。 「ほっほー・・・おまえなかなかやるなぁ。つうか本気で働きたいのか?」 「ゆっきーーー!!ほんきだっていったでしょ!」 体を膨らませ抗議の意を表すまりさ。朝からかなりテンションが上がっている。 「ふうむ・・・よしわかった。そこまで言うなら試してみるか。ただしやるからには本気でやれよ」 まりさの熱意に男が折れた。あっさりと男が働くことを許可したせいかまりさは一瞬ぽかんと口を開けたままで 男を見つめていたが、その意味を理解し次の瞬間パァァと顔が明るくなり、体を縦に伸ばしてクネクネとねじり始める。 「ゆっきゃあああ!!これでまりさもおかねもちだね!!」 どうやら喜びの意思表示らしい。 その様子は少しキモかった。 「さて、んでどこで働くつもりなんだ?」 「ゆっ、きのうてれびでやってたところがいいよ!」 「昨日の?どこだっけ・・・ああ、日本ミラクルか。確か最近青山に自社ビル建てたんだっけかな・・・青山なら通勤途中だし まぁいいか・・・どれどれ」 PCを起動しブラウザから会社のサイトを開き「採用情報」をクリックする。 新卒採用、中途採用、障がい者採用・・・・ゆっくり採用 思わず飲んでいたお茶をブッと噴出す。 わかっていて開いたページだが改めて「ゆっくり採用」などと書かれていると滑稽で仕方が無い。 「ゆっくり採用専用ページ」をクリックすると、微笑んだまりさとれいむが「ゆっくりはたらこうね!」という台詞と 共に表示された。 「ゆっーー!!!すごくゆっくりしてそうだよ!おにーさんはやくはやく!」 いつのまにか机の上に上り一緒にモニタを見ていたまりさが興奮気味に男をせかす。 【職務内容】 社員に対する福利厚生を目的とした活動全般 広報活動へのサポート 平易な雑務(能力による) 【応募資格】 年齢:成体ゆっくり 経験:問わず(労働経験あれば尚可) その他:飼いゆっくり登録済み、穏やかな気性、協調性必須、ありす種は去勢済みであること 【語学力】 ひらがなの読解力(漢字、英語の読解力があれば尚可) 【勤務時間】 3日~5日/週 9 00-17 30 【待遇】 15,000円~/月(昇給あり) 契約社員 「うわぁ、割と本格的だな・・・ところで英語を話せるゆっくりはいるのだろうか・・・?」 「おにーさん!どうなの?まりさだいじょうぶ?」 モニタの横でぼよんぼよんと跳ねながらはしゃぐまりさ。 うるさいので頭を手でぎゅうと押し付けながら詳細を確認する。 「ふうむ・・・一応おまえは条件的にはクリアはしているな。おい、おまえ協調性あるのか?」 「ぐむむびゅ・・・ぎょーぢょーぜいでなあに」 押さえつけられたままのまりさが半分潰れたまま質問する。いつもならこんなことするとすぐに怒り出すまりさだったが 今は希望に満ちているのか気にもとめてないようだった。 「ああ、すまんすまん、ええと他のゆっくりや人間と一緒に仲良くしたり、いう事聞いたりできるのか?」 「もちろんだよ!まりさはともだちのれいむやぱちゅりーとなかよくしてるよ!それにおにーさんみたいな いじめっこのいうこともちゃんときいて・・・」 再び手で押さえつけられてむぎゅうと言って黙る。 「まぁ確かにそうだな、おまえは他のゆっくりとも喧嘩しないし大丈夫かなぁ~って、あ・・・」 【今期のゆっくり採用の募集は終了しました】 「ハイ残念でした・・・・もう募集は終わったってさ。」 「ゆがーん・・・!!!」 ショックでそのまま机の上からぼたっと床に落ちる。 「ゆっくりした結果がこれだったな。」 落胆したまりさはしばらくふてくされて横になり、ぐでっと溶けたアイスクリームみたいになっていたが のそりと起きると男に向かって口の端をゆがめてこう言った。 「・・・はたらいたらまけかなっておもってるよ・・・」 おしまい 続く(のか?) =============== あとがき 虐待らしい虐待がありませんでしたが、まぁこういうのもいいかなと思いました。 斬新な虐待方法が浮かばなかったというのもありますが。 飛び散る餡子を望んでいた方々申し訳ない。 これまでに書いたもの うんうんの報い ゆっくり罠地獄その1 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/89.html
深夜、夜食調達がてら向かったコンビニの帰り道 ふと道路脇にゆっくり霊夢がぴょんぴょん歩いているのを見かけた 「こんばんわ!」 歩いてきた俺に礼儀正しく挨拶するゆっくり霊夢 この辺の家で飼われているのだろうか、何にせよこの時間帯にうろうろしているのは珍しいことである 「こんばんわ」 足を止めてこちらからも挨拶 「こんなおそくに、なにしてるの?」 キョトンとした顔で聞いてくる 「夜食を買出しにいってたのさ」 「やしょく?」 「夜に食べるおやつのことだよ」 「ゆっ?おやつ!おやつ!」 おやつという単語を聞くなりゆっくり霊夢は飛んだり跳ねたり大はしゃぎだ 俺は買って来たお菓子が入っているコンビニの袋を開いて見せる 「おやついっぱい!」 「おにいさん!たべていい!?たべていい!?」 「ん?仕方無いなぁ、お家の人には内緒だよ?」 「わかった!ゆっくりするね!」 袋の中に頭を突っ込んでお菓子をボリボリと貪り始めるゆっくり霊夢 「うめぇ!めっちゃうめぇ!」 「マジパネェ!」 コンビニ袋がガサガサと凄い音をたてている 袋の中ゆえ表情こそは見えないが、その声は嬉しさに満ち満ちている そのゆっくり霊夢が入ったコンビニ袋を持ち上げると、袋の口を硬く結ぶ ゆっくり霊夢は食べるのに夢中でその状況にまったく気がついていない そうして、俺は乱暴に片手でその袋を振り回し始めた 「ゆ゙っ!?」 お菓子を貪る行為に夢中になっていたゆっくり霊夢は現状を把握できていない 「ゆ゙っ!?ゆ゙っ!?」 振り回す速度をさらにあげていく 「まッ、わ゙るょっ!まゎッ、る゙よっ!ゆ゙っ…ぐり゙っできな゙ッ、いよ゙っ!!」 遠心力で袋の底に押し付けられて上手く喋れないようだ そのまま思い切り全力で袋を回転させる 「や゙ぁ゙ッ…め゙ぇッ!おに゙ぃ゙ッさッ…!!」 必死に哀願するゆっくり霊夢、しかし回転が止むことはない 俺は縦に、横に、八の字に、とにかく乱暴に振り回し続けた 「…ッ!!…ッ!!」 10分も振り回しただろうか、全力でやっただけにこちらも相当疲れてきた 振り回していた腕をとめ、袋の中からゆっくり霊夢を取り出す 「ゼッ!!ゼパッ!!ゼッ!!!」 身体を斜めに傾け、白目を血走らせながら歯を剥き出しに激しく息を荒げるゆっくり霊夢 その顔は茹で上がったように真っ赤に変色し、凄まじいほどの血管が浮き出ている 呼吸するのに精一杯で、言葉を喋ることもできそうにない 袋の中は涙と涎と鼻水で酷い有様だ やがて、意識があるのか無いのか、身体をガクガクと震わせながらも俺から必死に遠ざかろうとしはじめた 「ゼパッ!!ィハッ゙!!ィハッ゙!!」 あまりの苦しさに、荒げた息から声が漏れる そして間も無く、その足がピタリと止まる 「…ッ」 「………ッ」 「………ウッ!……ンッ!……ンッ!」 激しく荒げていた息は止み、身体は大きくポンプのように上下する 「……ッん゙ェ゙え゙!!!!」 ゴボッ 鼻と口と目の隙間から 大量の吐瀉物が吹き出る 「ん゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ッ!!!!」 決壊したダムのように、あるいは壊れた蛇口のように 茶褐色の吐瀉物が、無尽蔵に溢れ出てくる 「ェェ゙ッ!!!……カッ!!……ゼハッ!!」 やがて大量の嘔吐は止み、斜めに傾きながらも吐瀉物の海の中で必死に呼吸をするゆっくり霊夢 「…カッ!!…ハッ!!…ハッ………んんんィ゙ェ゙ッ!!」 しかし間をあけると、再びえづき、嘔吐をしはじめた 嘔吐のせいで呼吸が出来ないのだろう、口をパクパクとさせている ゴポッ 「んん゙ん゙ォ゙お゙え゙゙あ゙!!」 ボトボトとその音は止まない 「んっ!!んふッ!!んふッ!!カッ…ふッ!!」 ギリギリと歯を食いしばって吐き気を耐えるが、非情にも嘔吐感の波は間をあけてゆっくり霊夢を襲うのだった 「ゆ゙ぐッ…ッ!…んふっ!ゆ゙ぐッ…ッ!…ンエレ゙ッ!!」 ゆっくり霊夢の嘔吐音を背に、俺は再びコンビニに足を向けた ~ゆっくり霊夢と遠心力~ END
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/313.html
「ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!」 ある森の中、館と家の中間くらいの大きさの煙突がある家の前のことであった。 帽子をかぶったゆっくりが叫んでいる。 この個体はゆっくりまりさと呼ばれる。天邪鬼で意地っ張りな個体が多い種族だ。 ゆっくりまりさはいたずらを好む。好奇心が旺盛なためか、他者にかまってもらいたいのか、 いずれにしろよく悪さをしでかし、叱られることが多い。しかしこのまりさの行動はそれを踏まえてもありえないものであった。 他者の家に勝手に上がりこんでここが自分の家だと宣言している。 この家の主人であろうか、若い女性が苦笑いしている。 自分が留守にしていてしばらくぶりに帰ってきたらこの始末だったためである。 うっかり鍵を掛け忘れていたのを思い出す。長期間留守をするにしては間が抜けたものである。 そんな彼女はどうするべきかと悩んだしぐさをしている。 「ゆっくりしんでね!!」 あろうことがまりさは女性に向かって体当たりを仕掛けてきた。 しかし女性はひょいと身をそらしたため難なくよけられ、 まりさは逆にあっさりと捕まってしまい、押さえつけられることとなった。 女性は目の前のゆっくりは自らの力を把握できていないのだろうか。 そう思ってまりさをつねる。ひたすらつねる。女性はまりさが泣くまでつねるつもりであった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ゛ぐ・・・」 しかしまりさは耐えている。更に力を込める。それでも泣かない。目に涙を浮かべて必死に耐える。このままでは千切れてしまう。 しょうがないので女性はまりさを外に放り投げて家の中に入った。 「ゆっくりいれてね!ここはまりさのおうちだよ!!」 しかし女性は聞き入れない。このまま家の奥へと向かっている。まりさは焦りを感じていた。 このままあの人間があの子をみつけたらどうなってしまうのかと思い、口に石をくわえ、窓から家の中へと侵入してきた。 砕けたガラスによって細かい切り傷がいくつもできたが、それでもまりさは飛び跳ねて体当たりを続ける。 なかなか根性があるというか図々しさに毛が生えているというか、傷だらけなことをまるで感じさせない挙動だった。 横で攻撃してくるゆっくりまりさの攻撃に女性は内心あきれながら無視して家の中を捜索していた。 まりさの攻撃を全て軽くかわす。勢いあまって壁に激突しても次の瞬間には飛び掛ってくる。 女性は段々と違和感を感じていった。家の中に何か大事なものがあるのだろうか。 この剣幕はただごとではなかった。攻撃性が少なく、 あまりにも弱すぎため無害なものが多い ゆっくり種がここまで攻撃的となる原因はなんだろうと興味を持った。 そしてある部屋の前に来ると扉の前にまりさが立ちふさがった。 「おねがいだからでていってね!!ここだけでもまりさのおうちにして!!」 放り投げてどける。扉を開けると、一匹のゆっくりがいた。あの青白い顔はゆっくりぱちゅりーである。 体が弱く、野生を生きる能力があまりないため、いつもじっとしている個体である。 しかしぱちゅりー種であることを踏まえても、その顔色は病的なまでの白さを誇っていた。 「むきゅぅぅ・・・。」 今にも力尽きそうなその姿。必死なまりさ、これらの状況から判断して、このまりさはぱちゅりーを守ろうとしたらしい。 「ゆぅぅぅぅぅ!!!!」 まりさはぱちゅりーの前にかばうように唸っている。 女性はどうしたものかと思案して、ぱちゅりーを介抱することにした。ここまで弱っているとほうってはおけない。 放り出すには目の前の命はあまりにも儚げで、今にも消え入りそうだった。 事情を知った女性はまりさの方をじっと見つめ、優しく両手で抱える。 「ゆ!?」 すると全力で窓の外に放り投げた。まりさはぱちゅりーを守るために警戒していただけだったが、 人の家に居座られて体当たりされたので、ちょっと気に入らなかったからこれくらいはしてもいいと女性は思った。 「むきゅぅ・・・、おうちにすませてくれてありがと・・おねぇさん・・・」 しかし一向に良くはならない。いくら喘息もちで死にやすいとはいえ、これは少しおかしかった。 女性は怒りが収まり、ぱちゅりーにお願いされたこともあったのでまりさを家の中に入れてやった。 まりさの体にあるガラスでできた傷は浅かったが、女性は一応手当を受けさせようとした。 「ゆっくりはなしてね!おねぇさんとはゆっくりできないよ!」 しかしまりさはそれを拒み、ぎろりと睨み付ける。 まりさはずっとぱちゅりーのそばにいた。 まりさはとても心配に思っていた。唯一の友達であるぱちゅりーが調子が悪い。自らの手で餌を食べることができなくなり、 一向に動く気配がない。以前自分達の家であった木の空洞にぱちゅりーをひとりにしておくと、 蛇などの動物が来たときに食べられてしまう。そのため、丈夫で安全で誰も住んでいない人間の家を探し出し、 ぱちゅりーを引きずって連れてきたというわけである。そこで留守にしていた人が帰って来たというわけであった。 女性は、この二匹を追い出して次の日玄関先で死なれたら目覚めが悪いと思った。 結局、女性はまりさとぱちゅりーを家に居候させることにした。 それから人とゆっくりの奇妙な共同生活が始まった。 まりさはぱちゅりーと四六時中いっしょにいる。女性は信用されていなかった。そのため、餌をとりにいくこともしていなかった。 まりさが留守の間にぱちゅりーと女性の二人だけが残されることを警戒していたのだろう。 いくらなんでもこれでは本末転倒だ。女性がこのままでは二匹が飢え死にしてしまうと思って食べ物を与えると、 まりさはまず毒見をしてからぱちゅりーに咀嚼した食事を与えた。 消化しやすくするためであろう。 まりさは明らかに人間不信であった。もしかしたら以前人間にひどい目にあわされたのかもしれない。 だからといって女性は特になにをするでもなく、二匹に餌を与え続けた。 「ゆっ・・・」 あるとき家の前に傷ついたゆっくりありすがいた。すぐに生殖行為に及ぼうとすることから、 ゆっくり達の間では嫌われているものが多い個体だった。けれども女性はありすを家の中に招いた。 驚くことにこのありすはまりさやぱちゅりーを見ても生殖行為を行わなかった。 最初は驚いたまりさとぱちゅりーだったが、辛い状況が続いたため、警戒心が養われていたためだろうか、 目の前のありすが他者に害を与えるような存在ではないと気づいた。 二匹はありすを受け入れた。 「ありすはきらいじゃないよ!ゆっくりしていってね!!」 「むきゅぅ、よろしくね」 「きやすくはなしかけないでよ。いわれなくてもゆっくりしていくわ!」 そういいながらありすは二匹の手伝いをした。まりさと共にぱちゅりーの看病をしていた。このありすは意地っ張りであるらしいが、 面倒見はいいようだ。ありす種に性欲がなくなるとこんな性格だとは意外であった。 いつからだったかわからないが、三匹は常に一緒にいた。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「うっうー♪」 ある日女性はとんでもないものを連れてきた。攻撃的な種属のゆっくりふらんとゆっくりれみりゃだ。まりさたちは虐められると思い、 身を強張らせた。しかし 目の前の二匹は何かがおかしい。それもそのはず、ゆっくりふらんには羽が片方ついていなかった。 再生力が強いふらんだったが、 たぶん生まれつき羽がなかったら再生もできないだろう。ゆっくりふらんは飛ぶ性質を持つため、はねる動きは不得意なようで、 ずりずりとゆっくりともいえないほどの速さで這いずり回ることしかできていなかった。れみりゃは叫び続けるふらんのそばで飛んでいた。 こちらはしっかり羽がある。 しかし牙がなかった。 この二匹はたぶんほうっておいたら死ぬだろう。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 またある日女性はゆっくりれいむの家族を連れてきた。母れいむは行くあてがなく困っていたところらしい、 体中ぼろぼろで汚れていた。共に連れてきた子れいむ、赤ちゃんれいむも不安そうにきょろきょろと辺りを見回す。 そんな彼女達はまりさ達に受けいられた。家族が一気に増えた。 「わかるよーわかるよー」 「ちーんぽっ!」 「ケロ、ケロケロ!」 だんだんゆっくり達が増えてくる。いつしか家の中にはゆっくりたちがたくさん溢れていた。みょん、ちぇん、ふらん、れみりゃ、 ありす、ぱちゅりー、まりさ、そしてそのほかの様々な種類のゆっくりたち。 みんなこの家に来るとゆっくりしていた。 彼女達はけんかすることもあったが、そのたびに女性につねられ、叱られることで少しずつ仲良くなり、 いつしか家族の一員となっていった。 女性はあらゆるゆっくり達を家の中に招いた。ここで彼女達に狩りの仕方を教え、食べられるもの、農耕の仕方など、 様々な生きる術を教えていた。 それからまたしばらくたった。ゆっくり達がゆっくりさせてくれた女性への恩返しのため、皆一丸となって働いていた。 家の前には畑が広がり、ゆっくり達が道具を口で使って耕している。 このとき女性は驚いたが、ありすは農耕における用地の運用の仕方や、道具の効率的な使用法をあっという間に覚えていった。一度教えたことを更に発展させて考えることができる。 人間にも難しいことだった。女性はありすに家の中の本を与えて読ませた。女性が難しいからといって買ったまま積んでいた本をありすは次の日にはそらで言えた。 ありすは正直なところ女性よりも頭がよくなっていたかもしれない。ありすの知識は大いに役立った。 体力のあるものは狩りに出かけていた。 母れいむはきのこと山菜を取りに山を駆け回る。最も力があって重いものを持つためだ。途中で蛇や猪などの獣とかち合っても、護衛のみょんやけろちゃん、ちぇん、 ゆっくり達が追い払う。おいしい食べ物を待っている仲間がいるから、だから頑張れる。 そして、留守番をしているものは子守をしていた。 「ゆっくりしね!!!」 「ゆっくりするー!!」「わたしもー♪」「遊んで♪遊んで♪」「ふらんおねーちゃん♪」 「うー、うー♪」 なんとふらんがれいむの子供達にかこまれて遊ばれていた。ふらんは不機嫌だったが、 赤ちゃんれいむたちはお構いなしにふらんにつっかかる。そんな赤ちゃん霊夢にふらんは本気で威嚇しているが、 れいむ達は怪獣ごっこだと思っているようだ。動きの遅いふらんにつかまるほど赤ちゃんれいむはゆっくりしていなかった。 れみりゃはそばで無邪気に飛び回っている。 ふらんは終止不機嫌で、れいむ達に遊ばれた後見かねた女性になだめられていた。 「う゛ぅ゛・・・・・・・・・・・・・・・♪」 ふらんは甘えることにてれを感じているのか、女性と目を合わせなかった。 けれどもその横顔は頬がにやりと緩んでいた。 ある日昼ごろのことだった。女性がゆっくり達にいいことを思いついたと言って、ゆっくり達を庭に集めた。 彼女はときどき突拍子もないことをいいだす。 なにかな、どうしたの、ゆっくり達が皆庭に集まると、女性は背中に何かを隠してやってきた。 ふっふっふっと笑って、もったいぶっている。まるで悪役のような笑い方に、ゆっくり達は不安になった。 そこで女性はジャジャーン、といった擬音が聞こえそうになるぐらい、うれしそうに背中の物を目の前に 出した。それはギター。指でかき鳴らし、音楽を奏でる道具。 みんなで歌を歌おう。それが女性が考えたことだった。ゆっくり達はみんな今日のお仕事がまだ終わっていない と、ばつの悪そうな顔をしていたが、女性はあっけらかんとして、そんなこと気にしないでいいとでもいうように ギターを弾いていった。彼女はまりさに侵入されたとき、家に鍵をかけ忘れたことから考えられるように、 細かいことを気にしないというか、豪快というか、いい意味でも悪い意味でもいい加減というか、そんな人だった。 女性はみなを楽しませようと弾いた一曲。彼女の弾くギターはあまりいい腕ではなかったが、 その楽しそうな雰囲気によって、ゆっくり達はゆっくりせずに大はしゃぎしていた。 「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」 お母さんれいむは歌っている。音程は高く、以外に上手い。それにしてもこのれいむ、ノリノリである。 「おかーさんすごーい!」 「わたしもうたうー!」 「わたしもー!」 赤ちゃんれいむたちも一緒に歌う。 「へェーらろ・・・むりだわ、これ・・・」 ありすは完璧に歌えないと嫌なのか、早々と歌を止めた。 こういうところで変に意地っ張りである。 しかしそっぽを向きながら口をパクパクとさせ、次回に継げていた。次に歌うときのために必死に練習するであろう。 その顔は楽しそうだった。t 「うー、ゆっくりしね♪」 ふらんまでご機嫌だ。その周りには赤ちゃんれいむたちが集まっている。楽しいときには細かいことは気にしないものである。 姉のれみりゃは踊るように飛んでいる。 「ゆっゆー♪」 「あるーひー♪」 「ゆっくりー♪」「ヘロロォールノォーノオォー」「うっうー♪」「ちんちーん♪」「けろけろッ♪」 その日はゆっくり達の大合唱が森中に響き渡った。誰もがゆっくり平和にすごしていた。 いつしか女性はゆっくり達の母親のようなものになった。 「ぱちゅりー、たのしい?」 まりさはぱちゅりーに尋ねる。 もはや自ら動くことができなくなったぱちゅりー。そんなぱちゅりーは女性に抱えられて、みんなの姿がよく見える特等席に座らせてもらった。 「むきゅ♪」 ぱちゅりーはとても嬉しそうだった。まりさはぱちゅりーのこれほどまでに嬉しそうな顔をみるのは久しぶりだった。 そして、それが最期だった。 空気が澄んだ朝だった。ついにぱちゅりーが死んだ。最後には話すことさえできなくなり、 発作的に餡子を吐き出すようになっていた。ゆっくり達皆が心配そうに見つめる中、 まりさとありすはぱちゅりーのほほに自らのほほを当てて、その最後を看取った。 「ぱちゅりー、だいすきだよ・・・」 「ゆっくりしてね、やすらかにねむりなさい・・・」 ぱちゅりーは力なく微笑むと、 「むきゅ」 と返事をするかのように一言発し、事切れた。 ゆっくり達はこの家に来てはじめて家族を失う悲しみに涙した。 そして、女性はぱちゅりーを弔うことにした。火葬にしようかと思ったらまりさが強く反対した。 「あついのはよくないよ!もうぱちゅりーにいたいおもいをしてほしくないよ!!」 そんなまりさの姿を見て、ありすは何かを感じ取り、まりさをかばうように意見する。 「おねがい!ぱちゅりーがやかれるところをみたくないの!!」 結局、ぱちゅりーは土葬することにした。虫に食われないように厳重に箱につめて、家のそばに石を積み上げて墓を作った。 家のなかのゆっくり達はみな悲しんだ。別れはとても辛い。 それを見ていた女性はこうやってお墓を作ってあげると、いい子は天国にいけると女性はゆっくり達に教えた。 「てんごくってなに?」 「たべもの?おいしい?」 「ゆっくりできる?」 女性は教えた。天国とはいつまでもゆっくりできるところだと。ぱちゅりーはいい子だからそこに行けた、死んだ後には会えるから心配しなくていいよと言うと、 ゆっくり達は嬉しそうにしていた。 ちなみにわるい子は地獄という、ゆっくりできないところに行かされると釘をさしてしつけることもした。 まりさはぱちゅりーの帽子を形見としてとっておくことにした。 その日の夜、まりさは女性に向かって今までの行いをあやまった。 自分の事をずっと気にかけてくれていたぱちゅりー。 まりさが夜寂しい思いをしたとき、いつも体を寄せて寝てくれたぱちゅりー。 ぱちゅりーはまりさの全てだった。 ぱちゅりーが死んだことはとても悲しい。だけど彼女が幸せそうに死ぬことができたのが、うれしかった。 まりさだけでは、ぱちゅりーをあそこまでゆっくりさせることはできなかっただろう。 「おねぇざん・・・いまま゛゛でまりざはわるいごでごべんなざい・・・。おねぇざんのおうち゛をがっでにづがっ・・てて・・・、 まりざもうででぃぐね、ぱぢゅりーのこどありがどう、ありずをよろじぐね・・・」 まりさは初めて女性にあやまった。ぱちゅりーと共に生きるためとはいえ勝手にひとの家に上がりこんだこと、 それなのに追い返そうと体当たりをしたこと、それなのにぱちゅりーを弔ってくれたことなど、感謝をしてもしきれなかった。 女性は何も言わずまりさを手招きした。まりさはぱちゅりーがいなくなったから、外に放り投げられるのではないかと思った。 自分から出て行くつもりであったが、もし恩人にそのようなことをされたらと思うと怖くて仕方がなかった。 まりさは恐る恐るゆっくりと女性に近づいた。 ぎゅぅぅと、音が鳴る。つねられるときのように、しかしまりさはつねられていない。 女性は何も言わずにただまりさを抱きしめた。まりさは女性のあたたかさを感じた。 そして女性は膝の上に載せると子守唄を歌った。 ぽんぽんと優しく頭を叩きながら。 まるで人間の子供のおなかを叩いて母が歌うように。 その歌声は正直あまり褒められたものではなかったが、 まりさは耳を澄ませ、涙で真っ赤にした目を更に赤くしないように閉じて聞き入れた それはまぎれもなく母が娘をあやす姿そのものであった。 もうでていかなくていい。あなたもここのうちのかぞくなのだから。 そのような歌詞であった。 いつしかまりさの閉じた目から涙がつぅっと落ちていた。 まりさはこの日本当の家族になった。 「おねぇさん!これあげるね!おいしいやさいだよ!!」 ぱちゅりーが死んだ日からまりさは女性に対する不信感を完全に失っていた。 今では誰よりも女性の近くに擦り寄って、誰よりも働いている。 食事も女性からうけとるとき、 毒見をするようなしぐさをしなくなっていた。逆に畑で取れた野菜を女性にプレゼントするようになった。まりさは女性への感謝の気持ちでいっぱいだった ゆっくり達を受け入れてくれたこと、みんなが仲良くできるようにしてくれたこと、ぱちゅりーを弔ってくれたこと、 まりさは女性を母親のように感じていた。 それでも憎まれ口をたたいて女性につねられるのは相変わらずだった。 女性がまりさからもらった野菜を調理して、並んでご飯を食べる。まりさはとてもうれしそうだ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 女性はそんなまりさをみて微笑む。まりさもつられてえへへと笑う。 そんなまりさでも女性の体の変化には気がつかなかった。 女性がまりさに気づかれないようにしていたためである。 それでも症状はゆっくり進行していく。 ゆっくり達が目を覚ます。寝ぼけた女性を数匹がかりで起こす。今まで誰よりも早く起きたのに。 みんなで協力して食事をつくる。女の人とは思えないくらい食べたのに。 太陽の下で働く。休む回数が増えた 眠る。眠ったらいくら呼んでも起きない。かとおもえば、一日中起きている日もあった。 こうなってくると、ゆっくり達も気がつく。女性の体が悪いんだと。 だけど女性は人間の医者のところには行かなかった。 軽い風邪だから大丈夫だと。 幸せな日々にもいつしか終わりがやってくる。それはあまりにも突然の事だった。ある日いきなり女性が倒れた。 顔を見てみると赤い斑点が出て、 常に苦しそうな表情を浮かべていた。 1日、2日、3日、1週間、女性はどんどん体が悪くなっていった。 それでも彼女は医者に見せなかった。 まりさ達はかわるがわる看病に努めた。ごはんを運ぶもの、身体を井戸水で冷やして氷嚢代わりになるもの、 女性が行っていた家の管理に務めるものなど、皆女性のために働いた。 それでも病気の進行は止められなかった。 心配するまりさをからかうようにつねる手の力がとても弱くなっていた。 はじめてあったときは泣きそうになるくらい痛かったのに。 女性はもうすぐ死ぬ。ゆっくりたちが女性のベッドの周りに群がっていた、 みな不安そうな顔をしている。 まりさとありすはかつてぱちゅりーに対して行ったように自らのほほを女性に当てていた。 「いままでありがとうね・・・。おかあさん・・・」 ありすが泣きながら女性に話しかける。女性は心配するなと笑顔でうなづいた。 このとき女性は気がついた。まりさの底の一部分が感触が固いと、それはまるでパンを一部分だけ焼いた後のようであった。 以前人間に虐待されたのだろう。火傷によって焦げてしまったに違いない。 女性はまりさがこの先みんなと一緒にゆっくりできることを願った。 女性はまりさに対して二つの望みをつぶやいた。最後の言葉だった。 自分が死んだらここをみんなのおうちにしてね。 ゆっくり達を守ってね 、と そして女性はゆっくり息を引き取った。 まりさがみんなを導いて、みんなが天国にいけるようなゆっくりとして生きていけることを願って。 遺体はゆっくり達の手でぱちゅりーの隣に埋められた。 「おねぇさん、てんごくでもゆっくりしていってね・・・」 それからさらに1ヵ月後、ゆっくり達は女性のいいつけを守って生活していた。女性がいなくなってもゆっくり達は今までどおり、 むしろそれ以上に頑張って生きていった。まりさとありすがリーダーとなり、ゆっくりたちをまとめていた。 女性が生前そうだったように、行き場のないゆっくり達を受け入れ、いつしか家はゆっくり達の楽園となっていた。 そんなある日の夜、人間が尋ねてきた。壮年の男が数人いた。ゆっくり達は突然の人間に驚いた。 しかし以前女性に対してとてもやさしくしてもらっていたことを覚えていたゆっくり達。みな口々に歓迎している。 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 まりさは以前人間に虐待されたことを忘れてはいなかったが、女性に心を開いたことで以前より人間の事を嫌ってはいなかった。 そして女性の最後の言葉を思い出し、その願いをかなえることにした。 「ここはみんなのおうちだよ!! ゆっくりしていってね!!!」 うん、ありがとう、ゆっくりさせてもらうね。 男はそう答えた。きれいな瞳をした男であった。 男達はこの場にいるゆっくり達を見て、何か話し込んでいる。牙と片羽のないふらん、牙のないれみりゃ、 その他様々なゆっくりたちをじっと見た。 特に驚いていたのは、ありすをみたときであった。男の一人がありすに振動を与えた。 「なにしてんのよ、えっち!!」 ありすは不機嫌そうな顔をして去っていった。男は信じられない顔をした。発情しないありすがいるなんてと。 ところでここに女の人は住んでいなかったかな? そう男のひとりがゆっくりに質問した。 なんでも男達は女性の知り合いらしい。ゆっくり達は女性の事を話した。皆バラバラに話すので聞き取るのに一苦労であったが 、男達は彼女がどれだけゆっくり達愛されていたのか理解した。そして彼女が病気によって死んだことを伝えると、男達は悲しそうな顔をした。 しばらくうなだれ、考え込んでいた後、男の一人が意を決したようにまりさに話しかけた。 「おねぇさんのお墓はどこにあるかな。お墓参りをしたいんだ。」 まりさは女性のお墓に案内した。 石を積み上げられたあのお墓に。 ここでおねぇさんが天国でもゆっくりできるようにいっしょにお祈りをしようと思っていた。 人間も自分達と変わらないと、 そう信じていた。 数刻後、男は女性の墓を掘り返していた。隣にあるぱちゅりーの墓も同時に掘られている。 まりさは何が起きたのか理解できなかった。なぜこんなことをしているのだろう。 死んでゆっくりしている人をなんで無理やり起こすのだろう。 おねぇさんもぱちゅりーも天国でゆっくりしているのに、ゆっくりさせてあげないなんて・・・。まりさとありすは男に飛び掛った。 「やめて!!どうじてそんなことをするの!!」 「やめてぇぇぇ!!」 男のひとりがまりさとありすを押さえつけながら、段々と墓が暴かれてくる。 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、 悪臭がただよう。まりさは口から餡子を吐きそうになった。 まりさの頭にあったのは、生きていた頃のおねぇさんの美しい姿とぱちゅりーの青白い顔であった。 しかし、目の前にいるものは、 にてもにつかない ぱちゅりーってこんなくろかったっけ? どろだんご・・・ あのシろいむしってナに たくさんいるよ となりのオおきいのは ひと? もの? くろい あのおなkaカらでるデろでろってなに・・・ あnこ? 「あ・・・あ・・・あぐ・・ぐぺぇぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ」 「ひどい・・・、なんで・・・」 あまりの衝撃にまりさはおねぇさんがどのような顔をしていたのか思い出せなくなった。 全く面影がなければそれでよかった。しかし着ている物、髪、顔の無事な部分と ぱちゅりーのそばに埋めた影響か、ところどころ虫に食われた部分がまりさの思い出の中のおねぇさんと混ざり合ってしまった。 おねぇさんといえば、目の前のくろくて、ぐちゃぐちゃで、べちゃべちゃなものしかわからなくなっていた。 男達は辛そうな顔をしながら女性を引き上げ、顔の確認をした。 男達の数人が泣いていた。リーダーらしききれいな瞳をした男が彼らをなだめた。 そしてしばらく話し合った後、男達は何かを決意した顔をした。男はまりさとありすを家の中に入れて、外から閉じ込めることにした。 男達の目的はこうであった。 ゆっくりから他の生物に媒介するウィルス、 感染方法はゆっくりを食べることと、ゆっくりを食べて感染した生物からの血液、経口感染であった。 そのウィルスはゆっくりと時間をかけて体内に潜伏し、発症の際は死亡率が40%を越えていた。 このウィルスにかかったゆっくりは先天的な奇型・変化をもって生まれる。 病弱さに拍車がかかったぱちゅりー、羽のないふらん、発情しないありすなどがそれにあたる。 男達はここに住んでいた女性の友人と加工場の職員で構成されていた。 彼女がゆっくりを襲っている犬からゆっくりをかばって噛まれ、このウィルスに感染していた可能性があること、 そのために森のはずれにある家で最後を迎えようとしようと失踪したこと、ついに家の位置を探し当てたこと、 最近わかったことだがもし感染していたら死体を焼却しておかないと動物によって死肉を漁られ感染が広がること、 彼女のような犠牲者を増やさないために感染源の奇型・変種ゆっくり達を炎によって滅菌処分する目的でこの場を訪れていた。 加工場の人間達にとってゆっくりは食料。それ以上でもそれ以下でもない。里の人に美味しく餡子を食べてもらいたい。 それだけを考えて仕事に励んでいる。しかし目の前のゆっくりが他の生き物に害を及ぼすと知ったとき、人を守るために自らの仕事を失うことを躊躇しない。そこには私情は一切なかった。 対して、女性の知り合いたちは私情によって動いている。彼女がまだ生きていた頃、世話になった者達の一部である。 彼らは彼女のような犠牲者を出さないようにゆっくり達を駆逐しようとしていた。それが彼女の意思とはかけ離れたものと知りながら。そんな彼らがやすやすと目の前の仇を逃がすはずがなかった。 この二つの思想を持つ包囲網からは、決して逃れられないだろう。 まりさは家の窓から女性とぱちゅりーが焼却されるのを見ていた。 まりさの母がわりであるおねぇさんとぱちゅりーはゆっくり燃えていった。熱いのは苦しいと思ってまりさは火葬をしなかった。 その結果があのどろどろの物体だった。 静かに、ゆっくりと炎は一人と一匹を包んでいく。その空気は以前おねぇさんとぱちゅりーが死んだときのお葬式のようであった。 違うのは、おねぇさんとぱちゅりーが穏やかな顔をしていなかったこと。 しばらく後、一人と一匹の遺体は真っ黒に焼き尽くされていた。 ぎろりと、男達がゆっくりが住む家のほうを向く。 まりさはきれいな目をしていた男と目が合った。男の目はもう曇っていた。疲れたような顔をして、生気を感じさせない。 それでもふらふらと家の方に近づいてくる。幽鬼のように。そしてそれにつられて他の男達もついてくる。 手に持っているのはたいまつ。 百鬼夜行そのものだった。 そして男達は、まりさたちの住む家目掛けてたいまつを放り投げて火をつけた。本格的に滅菌作戦を開始した。 「みんな、にげてぇぇぇぇぇぇぇ!!」 まりさが叫んだ。まりさは火の怖さを知っている。昔人間に捕まったとき、仲間と一緒に網の上で火にあぶられたことがある。 熱さから逃げるためぴょんぴょんと飛び跳ねる。しかし跳ねてもはねても火に接している底が熱くなる。 ほんの少し火に触っただけなのに体がこんがりと焼ける。それを見ている人間達は笑っていた。 誰が速く死ぬか当てる遊びをしていた。 まりさは運よく最後まで生き残り、死なずにすんだ。仲間達は焦げ付き、食べられもせずに放置されていた。 あの時と違うのは、人間達が遊びではなく、殺すことを目的として火を使っていることであった。 皆逃げる。しかしどこに逃げればいいかわからない。 部屋の中をひたすらうろうろとするばかり。パニックを起こしたゆっくり達は、部屋の中から出ることさえ考え付かなかった。 「ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ!」「ゆ゛ぐえぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ !!」 放り投げられた火の近くにいた数匹のゆっくりが悲鳴を上げる。体に直接火を浴びたため、髪の毛から引火して体中が火達磨になっていた。 それはある怪異を髣髴とさせた。 鬼火と呼ばれる、宙を舞い、駆けずり回る火の玉。 違うことは、それが地を這うことであった。 「ゆ゛っぎゅり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」 「ゆ゛っぐぃざぜでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!」 家の外に火達磨のゆっくり達が飛び出した。 もはや飛び跳ねることもできずにごろごろと地面を転がっている。 けれども火はゆっくり達の体を蹂躙するのをやめなかった。ごろり、ごろりと地面に向かって体をこする。けれども 全く効果がない。ひらすらに転がる。転がって転がって、何かにぶつかって止まる。それは男達の足であった。 ゆっくりにぶつけられた男は火にあおられ、熱さのあまりのけぞる。それをかばうように隣の男が火の玉を踏み 消す。その中にある命ごと 「ごぼっ!!」 「「ゆ゛っ!!!」 あっけない。あまりにもあっけない最期だった。これまで苦楽を共にしてきた仲間達。 同じ食事をし、共に笑い、泣き、一つ屋根の下に眠ってきた仲間達。ほんの数時間前までは隣で笑っていた。 ほんの数時間前までは。 今までこの家で体験した死とは違い、何の思いやりも見られない死は、ゆっくり達の心をぐちゃぐちゃに掻き回す。 仲間の悲鳴が現実から心を遠ざけ、炎の熱さが現実に心を引き戻す。ゆっくり達はパニックを起こした。 これから自分達にどのような運命が待ち受けているかをぼんやりと感じながら。 そう、悲劇はまだ終わっていない。これはほんの前奏にすぎないのだから。 「みんなはやくにげて!!ゆっくりしちゃだめだよ!!」 まりさはみんなを逃がすようにした。。 外には逃げられない。まりさは家の中の上の方へ、上の方へと 逃がすようにした。火は上に昇るが、地上は囲まれてしまったため、これ以外に逃げ道がないためである。 まりさは率先して皆を助けようと足掻く。懸命に足掻く。 おねぇさんに皆の事を頼まれたから・・・ 「ありすー、どこー!!でてきて!!にげるよ!!」 アリスの姿が見えない。はぐれてしまったのだろうか・・・。そういえば家の中に放り投げられたときから見ていない気がする。 ありすを助けに行くことも考えたが、まりさは目の前のゆっくり達を見て皆を逃がすことを選んだ。ありすならきっと大丈夫、 ありすが死ぬとは思えない。すぐにあの憎まれ口をたたいてくれるはずだ。 ゆっくり達は2階に上がり、1階より炎の進みが遅いことに皆少しほっとした。 しかしまりさは気を緩めない。皆に向き合って、大声で呼びかける まりさは火があっというまに広がることを知っていたので、皆を3階に誘導した。 「こっちだよ!うえにあがって!!うえにあがればゆっくりできるよ!!」 先陣を切り、階段の上に立って、ゆっくり達が階段を上ることを待っていた。 上が安全という根拠はないが、こうでもしないと皆パニックを起こす。 はやくこっちにくるように、恐怖に震えたゆっくりたちを励ます。 そのとき、 ビュッ!! ゴォォォォォォ!! いきなり外からたいまつが投げられた。窓ガラスを破り、階段を炎が包み込んでいく。ゆっくり達は散り散りになってしまった。 3階部分にはまりさしかいない。炎によって分断されてしまった。潜り抜けることは不可能だ。まりさにとっては不幸なことに、 皆を誘導するために急いで階段の前に行ったため、まりさのみ助かっていた。 まりさは階段の上から一部始終を見届けることになった。 「「「おがーざーん!だずげでぇぇぇ!!」」」 炎による恐怖で動けなくなった赤ちゃんれいむ達。 炎。それは母ゆっくりれいむの命への祝福をする優しいあたたかさとは違う、命を否定する激しい熱。 ぷるぷると振るえ、目の前の母をひたすら呼び続ける。 「わだじのごども”おぉ゛ぉ゛ぉ!!!」 母れいむは赤ちゃんれいむたちを庇おうと自らの口の中に入れた。 こうしておけばみんな一緒に逃げられる。そう思っての行動だった。 しかし誤算があった。口内に大量の子供達を含んだ母れいむはゆっくりとしか動けない。 はやく逃げなきゃこどもたちが死んでしまう、 はやく逃げなければ ぐらり そんな母れいむの思いとは裏腹に、母れいむの上に燃えた柱が倒れてきた。 大きい柱が ゆっくり、 ゆっくりと 「ん゛ん゛゛ん゛ん゛んん~~~~」 しかし子供達をくわえて動きの鈍った母れいむは更にゆっくりしていた。 ずりずりと這いずる様にしか動けない。 その目は落ちてくる柱をうつしていた。逃げようとすれば逃げ切れるようにも見えた。 じたばたともがき、目の前を見て、避けきれるまであと少し、あと少しのところまできた。 しかし、結局無理だった。あと1メートルほど進めば避けられたのに、それもかなわず柱が母れいむの頭を捕らえた。 ぐしゃり 母れいむは横に3倍ほど広がってしまった。悲鳴を上げる暇さえなかった。餡子が飛び散り、ぴくぴくと痙攣している。 口の中の子供達はつぶれて混ざり合っているだろう。 もう二度と母れいむの美しい歌声を聞くことはできない。 炎で分断された更に別の場所、移動の遅いゆっくりふらんは自分を助けようと近づいてくる子れいむたちとれみりゃを追い払っていた。 「ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしねぇ!!!」 鬼気迫る形相でこっちに来るなとひたすら吼え続ける。しかしそれでもゆっくり達はふらんにむかっていく。 ふらんをくわえると、少しでも火のない方向目掛けて引きずっていた。 「ふらんちゃん、ゆっくりしちゃだめだよ!」 「いっしょににげよ!」 「あきらめちゃだめだよ!」 「う゛~、ごぁい!こぁ゛い!いっしょににげる!おいで!!」 しかし炎は容赦なくふらんとゆっくり達を包み込む。 まるで焼き栗。炎の中で小さな塊がぱちぱちとはじけていく。それとも焼き芋とでも言おうか、餡子が焼けるいいにおいがあたりに広がっていた。 炎に慈悲はない。ただ全て燃やすだけ。そこには善意も悪意もない。 再生力の高いふらんとれみりゃはすぐには死なない。目の前でれいむ達が焼き死ぬところをゆっくりと見ることとなった。 最初はあまり気に入らなかった。自分がおもちゃにされているようでイヤだった。食べてやろうと思ったことも一回や二回じゃない。 だけど、だんだん一緒にいると楽しくなった。からかわれるのも悪くなかった。自分がからかわれるのに慣れてしまっただけなのか、 それともなにか別の理由があるのかわからない。ただ、ふらんはいつしかみんなの笑っている顔が大好きだった。 「あぢゅいよ゛おぉおぉ゛ぉ゛ぉぉ」 「ゆっぐりじでてよぉ・・・」 「ふら゛んおね゛ーじゃんっっっ!だずげでぇぇぇ」 そんな仲間達が、自分を助けようとしたから、ふらんを助けようとしたから、苦しそうな顔をして消えて行く。 真っ黒になりながら。そしてれいむ達が焼き死ぬと、今度はれみりやとふらんがゆっくりと死ぬ番だった。 「う゛・・・・、」 ふらんの目の前でれみりゃが焼けていた。普段の無邪気な表情とはかけ離れた苦悶の表情だ。 いつも自分の近くにいた姉。いつもへらへらとして弱そうで、ずっと姉扱いはしていなかった。 だけど、そんな自分を、ふらんをれみりゃは助けようとしてくれた。 れみりゃは紛れもなく自分の、ふらんの姉だった。 「ゆっくりしね・・・ゆっ・・・」 ふらんは何もできない自分がうらめしかった。 結局、最期まで姉扱いをしてあげることはできなかった。 生まれて初めてふらんは泣いたが、涙は蒸発してしまい、誰にも見られることはなかった。 炎が辺りを包み込み始めていた。 ゆっくりできないところが地獄なら、ここはまさにそれであった。地獄というコンサートホールでゆっくりの悲鳴の大合唱が奏でられている。 音の大きさはバラバラ、音程はバラバラ、リズムもバラバラ、共通しているのは苦痛を表現した歌だということ一点のみであった。 まりさはこのときほど自分手がないことをうらめしくおもったことはなかった。 耳がふさげないため、ゆっくり達の悲鳴があますことなく聞こえてくる。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!」「ゆ゛っぐり゛でぎる゛どお゛も゛っだどに゛い゛い゛い゛い゛い゛いい゛い゛い゛!!」 「ぐぉぼ!!」「ゆるじでぇ!! あづいよぅゆうぎゃあぁあ゛!!!」 「どおじでぇえ゛ぇぇっごんなごどずるのぉぉ゛お!!!」「ゆ゙ゎああああああああ」 「おねぇざんだずげでぇぇぇ」「ぶぎい゛い゛い゛い゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「わからないよ!!!わからないよおおおおお!!!」「ゆっぐりだずげでええええ!!!」 「 ゆ゛っぐり、じだい、じだいよおおおお!」「びゅっぐりゃぃぃぃ!!」「おぎゃぁぁぁざぁあぁぁん!!」 「いや!ゆっくりしてよう!や・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」「がぼッ、ガボボッ、い゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 「し、じじにたくないよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」「なんで!なんで!!なんでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!?」「んほおおおおおおおおおおおおお!」「う…うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 「ぢんぼぼぼぉおぉおおっ!!!」「う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!」 あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ゆーーー?!い゛や゛だぁぁぁぁぁぁ!?あづいいぃいぃぃいl?!」 「ひ゛ぃぃい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」「ゆっぐりじだがっだよー!!!!!」 「……ゲロ゛ォォオゲロオォオオォっ!」 おがあざんどご!? み゛ん゛な゛どごぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!? みぇな゛いぃぃ!!!」 「 ゆ゛ゆ゛っ゛っ゛ーーーーーーーーー!!!!」「あ゛づ!! け゛む゛い゛よ゛お゛ォ!!!」 「おうち゛でみ゛ん゛な゛どゆっぐり゛じでだだげな゛のに゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」 そして大合唱が終わりを告げた。まるで焼ききれたカセットテープのようにぷつりと音が消える。 もう誰も生き残っていないだろう。 みんなと分断されてからあっという間の出来事だった。 だけど、みんながどう死んだか、その様子は全く同時の出来事だったが、全てまりさの目に映り、記憶に刻まれた。 目をそらせなかった。よって、一匹一匹、全てのゆっくりの死に様が余すことなく焼きついた。 結局おねぇさんとの約束を破ることになってしまったことになって、申し訳なかった。 そしてそれ以上にみんな大事な仲間だったのに、大好きだったのに守れなかったことを後悔した。 まりさは死を目の前にして、それでも火から逃げることを選んだ。 火は・・・・・・・・・・どうしても怖かった。 3階にたどり着いた。目の前にありすがいた。 いなくなっていたかと思ったありす。まりさが気がつかないうちに死んでしまったのかと思ってしまった。それは一番嫌だった。 とにかく無事でいてよかった。生きていてくれてうれしい。 「ありす!いままでどこにいってたの!!しんぱいしたんだよ!!」 「わるかったわね・・・、みんながにげるためのどうぐをつくっていたのよ。それよりみんなは・・・」 「しんじゃったよ・・・。れいむたちもふらんもれみりゃもみょんもちぇんもみんなみんな!!ひでやかれちゃったよ・・・」 ありすはまりさから目をそらした。生き残っているのはまりさとありすだけ、 ありすは一瞬呻いて、暗い顔をしたが、急がないとまりさたちも危ない、 ありすはまりさをある部屋に誘導した。煙突のある暖炉とつながっている部屋だ。 煙突の下にハンモックがあり、傘がついた大きな箱のようなものが乗っていた。 「まりさ、まずこのうえにのって」 まりさは箱の中に入れられた。結構広かった。 「ゆ?これからどうするの?えんとつからにげようとしても、そとにはにんげんがいるし、えんとつもふさがっているよ!」 「いいからここでじっとしていなさい!そうすればとおくににげられるわ!」 ありすの作戦は、まず煙突を発射台にするため、その中間あたりに箱とハンモックで弾を作り、 その下に部屋との仕切りをして、部屋の中を密閉する。 そうすると熱によって膨張した部屋の中の空気が逃げ場を求める。 下の仕切りが燃え尽きることで外に空気が逃げる。その勢いを利用して箱ごと飛び上がるというものであった。 性欲を失い、リミッターがはずれたためか、ありす種の知能は本来の力を発揮していた。まさに賢者そのものであった。 「よくわからないけどすごいね!はやくにげよう!いっしょににげようよ!!」 「まってて、まずこれ、ぱちゅりーのぼうし。こんなだいじなものをもっていかないなんてまりさったらほんとにばかね・・・」 「ゆぅ、まりさはばかじゃないよ・・・。でも、ありがとね!ぱちゅりーもいっしょだよ!」 「それから、これ、わたしのへあばんど、もしこれをなくしたらおぼえてなさいよ・・・」 「なんでありすのへあばんどをくれるの?ありすがもっていればいいのに!?」 「それから、あなたのこときらいじゃなかったわよ・・・。」 ありすはまりさのほほに自分のほほを触れさせた。人間が今生の別れの際の抱擁を行うように・・・ 「ありす、どうしちゃったの!!なんかおかしいよ!!ゆっぅ・・・ゆぅ!」 ありすはいきなりまりさ目掛けて体当たりをした。 「ゆぇ!」 ありすは泣きながら 「ゆ゛・・・」 何度も 「あ・・・ありす・・・」 何度も そしてまりさは動けなくなっていた。 「このしかけはね、だれかがふたをしたでしめるこがひつようなの・・・じゃあね、まりさ。そこでゆっくりしていってね・・・」 傷ついてこの家に来たありす。ここに来るまで、その生活は決して幸せなものではなかった。 一日の食事に泥水をすするのみのことが珍しくなかった。 ぼろぼろになって、体を治す暇さえなく這いずり回る日々。 だけど決して弱みを見せない。見せたくない。 そんなありすがゆっくりできたのがこの家。初めての仲間。最後に残った家族。 ありすは自分の命の使い方を決めた。 ありすは部屋の中に残った。まりさを助けるために。まりさは動けず、そんな彼女の姿をじっとみていることしかできなかった。 そして炎が部屋に侵入してきた。ありすは仕切りをした。まりさはありすの姿が見えなくなった。 姿が見えなくなってもありすの声が聞こえてくる・・・ 「ひぎゃぁ゛ぁ゛ぁっぁ゛ぁぁぁ!!!あ゛ぢゅ゛いぉよぉぉ゛ぉぉ!!」 まりさは知っている。火による熱さはは決して我慢しようとしてできるものではないと・・・ 「ぱじゅりぃ゛ぃぃだずげでぇ゛ぇぇ!!おねぇざあん゛ん゛ん゛んんん゛!!じにだくないよぉおぉ・・・」 絶対に聞きたくなかった声が聞こえてくる。ありすが今まで一度も出したことのないようなひどい声だ。 「ま、まりさ・・・ゆ・・・・ゅぅ・・・ゅ・・・ゅ・」 最期にありすの頭に浮かんだのは、女性に連れられ、まりさとぱちゅりーに始めて出会った光景だった。 そして仕切りが燃え落ちて、逃げ場を失った空気によりまりさは煙突から発射された。 ある木の空洞にまりさはいた。あの家に住む前に住処にしていた家だった。ここはまりさ『だけ』のおうちだ。 結局あの日まりさは逃げ切るのに成功した。 煙突より遠くに飛ばされ、気がついたらもう夜が明けていた。 皆と住んでいたあの家に戻ると、全てが灰になり、何も残っていなかった。 畑も、ギターも、そしてみんなの死体も。 まりさはあの日から、起きていると仲間たちの悲鳴を思い出すためにゆっくりすることができなかった。 まりさにとってゆっくりするために必要なものはおうちではなかった。 仲間が欲しかった。仲間さえいればどこでもゆっくりすることができる。 しかし今となってはゆっくりはまりさだけになってしまった。人間たちの滅菌作戦によりこの一帯のゆっくりは全滅した。 だれかと一緒にゆっくりすることはもうできない だからといって人間とはもう会いたくない。おねぇさんのようなやさしいひととおじさんたちのような怖い人、 どっちが本当の人間かわからなくなった。やさしくされた後に裏切られるのが怖くなった・・・。 だったら死んでしまえばいい。そう思ったことも何度もあった。しかしそのたびにまりさは結局死にきれない。 死ぬのは怖かった。おねぇさんのお願いであったみんなを守ること、それができなかったまりさは地獄に落ちるだろう。 でも、ぱちゅりーの帽子とありすのヘアバンドをかぶって眠るとみんなとの楽しかった日の夢が見れる。 起きているときは仲間達の惨たらしい最期しか思い出せなくなったが、夢の中では現実では決してありえない、幸せな光景がある。 まりさはおねぇさんに抱きしめられて、 ぱちゅりーが元気に外であそんで、 ありすが意地を張って、 れいむ親子が歌って、 ふらんがからかわれ、 れみりゃが飛び跳ね、 ゆっくり達みんなが笑っている。 そんな夢。 まりさは夢のほうがいいのなら、ずっと夢を見つつけることを選ぶ。現実なんかどうだっていい。 ゆっくりねむろうとまりさはまた夢をみようとしたとき、家の中に蛇が侵入してきた。うっとおしい。せっかくいい夢をみていたのに。 まりさはぼんやりと、二度と誰かに「ゆっくりしていってね」といえる日はこないと思った。 「ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!」 ------------------------------------------------------------------- 平成20年8月17日 最後にケジメをつけるため、加筆修正しました。 これにてssを書くことを引退します。作者の方々のご活躍をお祈りして、 ゆっくりスレのこれまで以上の発展を願っています。今までありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/408.html
ある里の近くで、ゆっくり霊夢の一家が住んでいました。 一家は皆キチンとしており、人間の畑も荒らさずにゆっくりと暮らしていました。 「おかーさん、おそびにいええくるよ!!!」 「ゆっくりあそんできてね!! くらくなるまえにもどってきてね!!!」 「おねーしゃんいってらっちゃい!!!!」 「いってきます!! ゆっくりしてくるね!!!」 勢いよくお家から飛び出すゆっくり霊夢。 今日は魔理沙たちと遊ぶ約束を強いています。 こちらの魔理沙一家もキチンとしていて、他の魔理沙のように他人の家に上がりこむことはしません。 二人でくたくたになるまで遊んだ後、霊夢は暗くなる前に魔理沙とさよならして、お家に向かいました。 ……。 「ゆゆ!! おにーさん!! それなぁに?」 俺が近くの永遠亭から一本の竹を貰って帰る途中、一匹のゆっくり霊夢が飛び出してきた。 「これかい? これは七夕に使う竹だよ」 「ゆ? たなばた? それってゆっくりできるの?」 「あぁ、この笹に願い事を書いて吊るすと願いが叶うって言われてるんだ」 「ゆゆ!! おにーさん!! れいむもおねがいしたい!! れいむもおねがいしたい」 「ちょうどいいな、……よし一緒においで!!」 「ゆ♪」 ゆっくり霊夢と連れ立って家路を急ぐ、なんたって今日は七夕だからな。 「ほら、ここが俺の家だ」 「はいっていいの?」 「ああ。遠慮するなよ!」 「ゆ! ゆっくりおじゃまするね!!!」 まぁ、普通のゆっくりよりは礼儀正しいみたいだ。 「おじさんありがとうね!! れいむはゆっくりおねがいしたよ!!」 そうだった、こいつは何かお願いしたいことがあってここまで来たんだっけ。 「それじゃあ、今から飾りつけするから手伝ってくれるかい?」 「ゆゆ!! おてつだいするよ!! だかられいむもおねがいさせてね!!!」 「ああ。いいとも」 何て純粋なゆっくりなんだろうか。 これが並大抵のゆっくりだったら、早く飾り付けしてね!!、って叫ぶ所だと言うのに。 「それじゃあ、これを引っ掛けてくれるかな?」 渡したのは七夕飾り、器用に口にくわえ、俺に抱っこされて笹にかけていく。 「ゆゆ!! おにーさんかけおわったよ!!」 「よし、こっちもお願いね」 「うん♪」 暫く一人と一匹で仲良く飾り付けをしていった、一人でするより大分賑やかだ。 ……うん、なかなか良い出来だ。 「それじゃあ、短冊を書こうか」 「ゆ~? たんざくってなぁに?」 短冊が分からない霊夢に一枚の短冊を見せて説明する。 「これの事さ。ここにお願いを書いて竹に飾るんだよ。さて、文字は分からないだろうから代わりに書いてあげようか?」 筆を持ち直しゆっくりの方へ向き直る。 が、霊夢はなんだか不満そうだ。 「ゆゆ!!! おにーさん!! れいむもじぶんでかきたいよ!!」 「自分で書けるか?」 「うん!! おにーさんそれかしてちょーだい!!」 意気揚々と俺から筆を受け取ったゆっくり霊夢は口にくわえてブッ格好な丸を沢山書きだした。 「何だこの丸? まんじゅうか?」 「ちがうよーー!! れいむのかぞくだよ!! この大きいのがお母さんだよ!!」 別にどっちでも変わらん気がするが、見れば確かに目や口のようなものと髪の毛にリボンが書かれている。 「ふーん。で、これはどういうお願いなんだ?」 「ゆ? !! れーむとおかあさんと、おねーちゃんといもうとたちがずっとゆっくりできますようにっておねがいしたんだよ!!」 ほー家族ね。コイツラらしい。 「あっ! そうだ!! おにーさん!! たんざくもういちまいもらっていい?」 遠慮がちに聞いてくる、別にこんなもん何枚でもくれてやるが。 「良いけど、今度は何をお願いするんだ?」 「おともだちのまりさのかぞくもゆっくりできますようにってだよ!!」 くーー!! 泣かせるじゃねーか! 「家族や友達思いの良いゆっくりだな!! よし、後でおにーさんが食べ物を持って言ってやろう。両方のお家の場所は分かるか?」 「うん、ここから…………」 ほうほう、結構近くだな。 「よし! 分かった。それと、きちんとお願いが叶うようにおにーさんが文字でそのお願いを書いてやるよ」 「ゆゆ!! おにーさんありがとーー!! これでれいむたちはゆっくりできるね!!」 「そうだな、良い子にしてたらきっと叶うぞ」 「ゆゆ!! れーみたちもまりさたちもかってににんげんのおうちにははいらないよ!! はたけのおやさいだって、かってにたべないよ!!!」 どうやら、自分たちがそういう事をしてると思われたと思ったんだろうな。 それにしても、なかなか真面目なゆっくりだな。 「分かってるよ! ……っと、よしかけた。それじゃあ、飾りにいこうか」 「ゆゆ!!」 無邪気に笑う霊夢を抱えて再び庭へ。 霊夢に自分の短冊を下げさせた後、俺も自分の短冊を上の方へ下げた。 「ゆゆ!! おにーさんはどんなおねがいしたの?」 下げる前に、霊夢がそんな事を聞いてきたので短冊を見せてやったら喜んでた。 文字は読めないのにな。 「これでよし。全部終わりだ」 「ゆ! おじさんのおねがいもれーむのおねがいもちゃんとかなうといいね!!」 「そうだな。お前はこれからどうする? なんなら夕飯でも食っていくか?」 「んーん。おかーさんがしんぱいするといけないから、おうちにかえってゆっくりするよ!!!」 そうか。 それじゃあ俺も夕飯の準備に取り掛かろう。 「ゆ!! おにーさんどうしたの!!」 ゆっくり霊夢を抱きかかえる。 既に帰ろうと背を向けていた霊夢は少し驚いたようだ。 「んー? これから夕飯にしようと思ってな」 「? れーむはおうちにかえるよ? おにーさんのごはんのじゃまはしないからゆっくりたべてね!!」 「そぉい!!」 「ゆぶっちゃら!!!!」 真横に図太い荒縄を通して竹へ吊るす。 「ゆゆ!!! れーむのおながにぃ!! おにーざん!! はやぐどってぇーー!!!!」 このために、わざわざ永遠亭まで言って綺麗なウサギさんと一緒に丁度良い竹を探し回ったんだ。 あぁ、今度は怪我をして行ってみようかな……。 「ゆ!! いだいよ!!! おにーさん!! ゆっくりおろしてね!!! ゆっくりおろじてねーー!!!」 痛みに苦しみながら、こっちを見つめる霊夢。 残念だけど、俺はこれから夕食の準備をしないといけないんだ。 「それじゃあ、そこでゆっくりしていってね!!!」 「ゆっぐりーーー!!!!!!」 さてと、ビールビール!! ……。 「うっう~♪ あうあう♪」 暫くビール片手に家の中で待っていると、漸くゆっくりれみりゃがやって来た。 「う~? ぷっでぃ~んどごぉ~? ぷっでぃ~ん!!!」 もちろん唯のれみりゃじゃない、紅魔館にすんでいる最高級れみりゃだ。 「ゆ!! おにーさん!!! れみりゃだよ!! ゆっくりできないよ!!!」 そんなに大きな声で呼ばなくたって分かってるよ、コイツをおびき出すためにお前を吊るしてたんだから。 「うっう~た~べちゃうぞ~♪」 「ゆ!! ゆーーっぐりたすげでね!!! れーむはおいしくないよ!!!」 馬鹿かお前? 大馬鹿な紅魔館れみりゃにそんなこと分かるはずないだろ? 「う~♪ がぶっ♪ !!!……うー!! ぷっでぃ~んじゃないー!!!」 やっぱコイツ馬鹿だ。 「うーーー!! ぽいっ、するのぽい!!!」 勢いに任せて、霊夢をズタズタに千切っていくれみりゃ。 そろそろ頃合か? 「おい肉まん! こっちにぷっでぃ~んがあるぞ!!」 「う!! ぷっでぃ~んだべどぅ~♪」 「そうか、食べるか。ぷっでぃーんはこっちだよ!!」 「うーー!! ぷっでぃーんじゃないの!! ぷっでぃ~んなの!!」 テコテコと座敷に上がってくるれみりゃ。 ニコニコしながら俺の前に近づいて両手を差し出してきた。 「う~♪ はやぐぷっでぃ~んくれないと、さぐやにいいつげるどぉ~♪」 はいはい、ぷっでぃ~んね。 「こぁ!!」 「うー? !!! いだい!! いだいどぉーーーーー!!!!!」 そりゃ、柱に磔にされたら痛いわな。 「うーーー!!! ざぁぐやーー!!! ぷっでぃーんはどごーー!!!!」 ……、おい! 「ぷっでぃーんじゃなくて、ぷっでぃ~んだろ?」 まずは、この羽からいってみよう。 「!!! いだいどぉーー!!!! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーー!!!!!!」 うん、これはビールに合うな! 「そればれみりゃのーー!!! れみりゃはだべものじゃないどぉーーー!!!!!」 そういえば黒ビールも有ったな、今度はそれで食べてみるか。 「うあーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 ……。 ふー、食った食った。 そういえば、あの霊夢はまだ生きてるのかな? 「おーい霊夢! 生きてるか?」 「ゆー。 !! おにーさん!! れいむはゆっくりできるよ!! れみりゃをおいはらってくれてありがとうね!!!」 おお! 生きてた、すげーな!! 「でもこの縄を早く外してね!! そうしたら、こんなことしたのをゆるしてあげるよ!!!」 へいへい。 「ほら、外してやるよ。別に悪気があった訳じゃないんだ。ただ自分を吊るすと願いが叶い易くなるんだよ」 霊夢の縄を抜いて地面に降ろしてやる。 縄の抜けた体を満足そうに見た後、目を輝かせて俺に尋ねてきた。 「ゆゆ!! ほんとう!! だったられーむたちのかぞくとまりさのかぞくは、ぜったいにゆっくりできるね!!!」 「U☆SO☆DA☆YO☆ そぉい!!!」 「ふんじゃられったりーーー!!!!!!」 死なない程度に踏みつけて籠に入れておく、明日の朝には元気になってるだろう。 「じゃあな。明日は家族仲良く加工場に行こうな。願い通り、死ぬまでゆっくりできるぞ!!」 「!! かごうじょーーはやだーーー!! ゆっぐりできないよーーー!!!!」 ……。 「れいむ、きのかえってこなかったね」 「きっとまりさといっしょにゆっくりしてたんだよ!!」 「やぁ、君達が霊夢の家族かな?」 「!! おじさん!! れーむをしってるの?」 「れーむはどこにいるの!!」 「うん、霊夢は君の家族と魔理沙の家族がゆっくりできるようにってお祈りしてたんだよ。俺は、それに感動して君らもゆっくりさせてあげようと思ってね。魔理沙の家族は、今一緒にいるから君達もおにーさんのお家へおいでよ!!」 「れーむもおにーさんのおうちにおじゃましようよ!!!」 「!! うん、みんなでゆっくりできるね!! おにーさん!! どうもありがとーー!!」 「いいよいいよ! 俺も願いが叶って嬉しいから……」 翌日、親子共々籠に入れて、願いどおり加工場でゆっくりしてもらうことにした。 専用の安全な檻に入れられた両方の一家が、嬉しそうに涙を流して喜んでいたのが印象的だった。 俺の願い? 高級なゆっくりれみりゃを食べたい事と、纏まった金が欲しい事さ。 ……。 昨夜、紅魔館。 「れみりゃさまーー!! 食後のプディングをお持ちしましたよ!! ……またお出かけかしら?」 「あ、咲夜さん。れみりゃさんなら、さっきお散歩に行きましたよ♪」 「そう。 ……このプリン食べる?」 「良いんですか? 頂きます♪」 「涎垂らしながら見つめてたでしょ。それより、貴方も短冊に何か書いたの?」 「おいしーです♪ ……あっ、はい! 嫌いな食べ物を見なくて済みますようにって書きました♪」
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2890.html
その3より こんな感じで、れいむの虐待は毎日のように行われていった。 過ぎてしまえば、長いようで短かった一か月。 れいむは何度心が折れてしまいそうになったか分からない。実際、折れた方がどれだけ楽だっただろうか。 しかし、その度にれいむの心を救ってくれたのは、同じく男に虐待を受けるまりさとありすの存在であった。 男は初日の説明通り、一日一時間の虐待を済ませると、きっちりと虐待を止めて、れいむを元の部屋に帰してくれた。 本当に虐待以外に興味がないのか、虐待時間以外は決してれいむたちに干渉してこなかった。 そのため、残りの23時間は、部屋から出れないことを除けば、自由に過ごすことが出来た。 れいむは一日の大半を、寝て過ごす。 虐待時間は一時間とは言え、あまりに過密な内容に、十分な休息を取らなければ、それこそいつ死んでもおかしくないからだ。 まりさやありすも同様に、大半を休息で過ごしているそうだ。 その後、起きたら食事の時間である。 部屋にはドッグフードと水が毎日欠かさず用意されており、その点に関してだけ言えば、森での生活より遥かにゴージャスであった。 とは言え、初日のように体が受け付けないことも多く、楽しい食事とはそうそういかない。 それでも、体力回復には食事を取らなければならないこともあり、れいむはどんなに苦しくても、毎日食事を取り続けた。 その後はまりさ・ありすを交えての意見交換会。 三匹で集まれる時間はあまり長いものではないが、これがれいむの一日の中で最大の楽しみであった。 内容は、今日はどんな虐待をされたのかとか、これこれこうすればあんまり痛くないだとか、明日はきっとこんなことをされるに違いないといった虐待に関することが半分。 そしてもう半分は、ただただ無駄話の駄弁りである。 大抵は男の悪口であったり、自分はどこどこの森で暮らしていただとか、昔こんなことをしたことがあるとかいった世間話だ。 もしこの時間がなくなれば、それこそれいむの心は早々に折れていたことだろう。 まりさとありすが居るからこそ、れいむは心を保ち続けることが出来、未だ信じるに足らないが、「飽きたら森に帰す」という男の言葉を微かな希望として生き続けている。 どれか一つ欠けても、先はないのだ。 まりさとありすと言えば、この一か月の間に二匹に対する感情も変化していった。 まずはまりさ。 出会ったときから美ゆっくりであったまりさへの親愛度は高かったが、今では以前に輪をかけて大きなものになっている。 最初は単なる一目惚れであったが、今では間違いなく、れいむはまりさに惚れ込んでいた。 会話を交わしていて分かったのだが、まずまりさは頭がいいのだ。 無論、所詮はゆっくりの中でのことであり、人間や妖怪とは比べられないが、それでも母ぱちゅりーに匹敵するのではというほどの知識を溜めこんでいる。 聞けば、まりさの片親もぱちゅりーであり、幼い頃から様々なことを教え込まれてきたらしい。 今後使う機会があればよいが、丈夫な家の作り方や安全なキノコの見分け方など生活の知恵からちょっとした雑学まで、れいむとありすに懇切丁寧に教えてくれる。 また、リーダーシップにも長けていた。 まりさは三匹の中で一番年長であり、自然とまとめ役をこなすことが多い。まりさ種特有の気質も無関係ではないだろう。 れいむとありすが喧嘩した時もうまく収めてくれたし、三匹の意見が食い違うことがあっても、常に一歩引いて二匹を立ててくれる。 こういうさり気なさがまりさの魅力を引き出しており、結果、れいむのまりさへの好意は急上昇していったのである。 続いてありすであるが、最初はれいむにとって、あまりいい印象を持つゆっくりではなかった。 しかし、今ではれいむの親友であると、はっきりと断言できる存在となっていた。 ありすについて真っ先にいうなら、とても優しいゆっくりだということである。 自身も辛い目に遭わされているにも関わらず、常にれいむとまりさの心配を優先し、自分は二の次に置いていた。 以前、れいむが寝れなかった時など、ありす自身も辛いはずなのに、一晩中、れいむの話し相手をしてくれたことがあった。 都会派を気取るところは最初から変わりないが、それはありす特有の照れ隠しの場合が多く、付き合いが続けば自然とそれが理解出来るようになっていた。 そんなありすであるが、小さい頃から親まりさ一匹に育てられたらしい。 れいむがうっかりと「おとうさんはどうしたの?」と聞いてしまったことがあって、すぐに失敗したと思った。 こういう場合、大抵れみりゃや野生動物に食べられたか、人間に捕まったかのどちらかであるからだ。 しかし、ありすから返ってきたのはそのどちらでもなかった。 ありすの親ありすは、なんとレイパーだというのだ!! これには、れいむばかりかまりさも驚愕した。 レイパーありすは、無理やり親まりさをすっきりさせると、親まりさを置いてどこかに行ってしまったらしい。 その後、ありすは親まりさ一匹で育てられたそうだ。 レイパーから生まれたありすは、高確率でレイパーになることが多い。 先天的にレイパーの因子を持つことと、望まれないで生まれてきたことによる親からの愛情不足、生活環境の乱れが、レイパーへと成長させる主な原因である。 しかし、このありすはレイパーの子供でありながら、とてもレイパーを憎んでいた。 望まれて生まれて来たわけではなく、周りのゆっくりたちはそんなありすをレイパーの子と蔑んだが、親まりさはありすを憎むどころか、自分の子供としてしっかりと育ててくれた。 その過程を見て育ったありすは、親まりさを心の底から尊敬し、愛し、レイパーを憎んだ。 自分は決してレイパーなどという下品で下等なゆっくりにはならないと心に誓い、常に他者を思いやる心を持ち続けようと、今日まで頑張ってきたのだという。 それが、この慈愛に満ちたありすなのだろう。 れいむは、見もせず伝聞だけでありす種すべてを嫌っていたことを恥じ、ありすに謝罪した。 ありすは、そんなれいむに怒ることはなく、「仕方がないわ」と笑って許してくれた。 それ以来、二匹は親友と呼べるようになった。 二匹の年齢がほぼ同じくらいなのも、それに輪をかける結果となったのだろう。 これが現在のれいむの二匹に対する感情である。 男の虐待がなければ、三匹仲良くいつまでもゆっくり出来たことだろう。 男に連れてこられなければ出会うこともなかったのだが、例えそうだとしてもれいむはそれが悔しくて仕方がなかった。 しかし、男の虐待は、ここにきてようやくターニングポイントを通過したことを、この時のれいむは知る由もなかったのである。 翌日、今日も一日が始まる。 男が三匹に虐待する時間はほぼ決まっており、今日もその時間がやってきた。 虐待の順番は、まりさ→ありす→れいむ→まりさ→ありす→れいむ→まりさ→……とサイクルが決められており、昨日はありすが一番だったので、今日はれいむが最初である。 ところが、男はれいむの部屋になかなか入って来ることはなかった。 いつもなら入ってくるや、れいむを木箱に詰めて虐待部屋に連れていくのだが、いったいどうしたのだろう。 男が居ないわけではない。 現にここまでの足音はしっかりと聞こえているので、扉のすぐ前に男は居るはずなのだ。 順番を忘れたのだろうか? もしかしたら今日は虐待されないんじゃ…… れいむがそんなあり得ないことを考えていると、男がようやくリアクションを見せた。 れいむの部屋を開けることなく、壁越しに大きな声で言葉をかけてくる。 れいむだけでなく、まりさとありすにも聞こえるように、そこから話しているのだろう。 「お前たち、よく聞け。今日から虐待の一部を変更する」 「ゆっ!?」 虐待の一部変更? 一体今さら何を変更するというのだ? まさか時間を延ばすのだろうか? それとも更なる痛みに耐えなければならないとか? まさか、虐待に飽きたから殺されるんじゃ!! れいむは焦った。 何しろ今日の虐待はれいむが最初なのだ。 全く心構えが出来ていない。 しかし、男はそんなれいむの心情を知ってか、「怯えているようだな」と前置きをして、説明を続けた。 「心配することはない。虐待方法は、前と変わりはない。時間はきっちり一時間だし、決して殺すまで傷めつけたりはしない。 他の時間は何をしても構わない。寝るのも食べるのも三匹で語り合うのも、お前たちの自由だ」 「ゆっ……それじゃあ……」 「変えることはただ一つ。今日から、お前たちの中の一匹だけを虐待することにする」 「ゆゆっ!!」 一匹だけ? ってことは、残された二匹は虐待されずに済むってこと? でもそんな都合のいい話があるだろうか? かつては疑うことを知らなかったれいむも、今ではすっかり俗世の垢にまみれ、あらゆることに考えを向けるようになっていた。 あれだけ虐待の好きな男が、一匹だけを虐待し、他の二匹を虐待しないなんてそんな甘いことをするだろうか? れいむがその旨を男にそれを問いただす。 男も予め予想が付いていたのだろう。れいむの質問に、淀みなく返事を返してくれた。 「その通り。今日からは一匹だけを虐待し、他の二匹は虐待しない」 「ゆゆっ!!」 れいむはその言葉に、あんぐりと口を開けた。 あり得ない。あり得るわけがなかった。 余りにも自分達に都合がよすぎる。なぜ今頃になって、男がそんなことを言ってくるのか、全く理解が出来なかった。 何か裏があることは間違いないだろう。 男はまたしてもれいむの心を悟ったように、続けてくる。 「どうやら、何か裏があるんじゃないかって疑っているようだな? まあ、今までの経緯を見れば、お前らが俺を疑うのは当たり前だな。 だが、この話に裏はない。一日の虐待は一匹のみ、他の二匹は今日から虐待をされなくなる。この話は真実だ。ただし、裏ではないが一つだけ条件がある」 れいむはほら来たと思いつつも、言葉に出さずに男のいう条件に耳を傾けた。 「虐待されるゆっくりは、俺が決めるのではなく、お前らが選出する。これが条件だ」 「ゆっ!! れいむたちがえらぶの?」 「その通り。相談して誰が虐待されるかを選び、選ばれたゆっくりだけが虐待され、他の二匹はその日は解放される。次の日は誰、次の日は誰と、毎日決めるんだ。 自分で立候補してもいいし、多数決で決めても構わない。毎日、同じ奴が虐待されても構わないし、三匹仲良く順番に虐待されてもいい。決めるのはお前らだ。 ただ、お前らが虐待される一匹を選出できなかった場合、その日は今まで通り三匹全員を虐待する。無論、それでも俺は構わないが」 「ゆぅぅぅ……」 男の言葉に、れいむは悩んだ。 未だ完全に男の話を鵜呑みには出来ないものの、もし話が本当だとするなら、自分たちにとってこれほど都合のいいことはない。 しかし、自分たちが選ばなくてはならないというのが一番の問題だ。 誰か一匹を選ぶということは、その日の生贄を選ぶということである。 れいむは二匹を親友だと思っている。 向こうもれいむを親友であると思ってくれているという自負がある。 たかが一か月の付き合いだが、今や二匹は自身の一生をかけても惜しくない存在になっている。 本心である。 嘘ではない、嘘ではない、が…… あの虐待と友情を天秤にかけると、それが揺らいでしまう自分がいることに、れいむは気付き愕然とした。 それだけ男の提案は魅力的なのだ。 もし生贄に選ばれさえしなければ、森に解放されるその日まで、ずっと虐待されなくなる可能性があるのだ。 あの地獄の苦しみにも匹敵するほどの暴力を、その身に受ける必要がなくなるかもしれないのだ。 忘れかけていたゆっくりした日々を、再びおくることが出来るかもしれないのだ。 どうして簡単に結論を出せるだろう。 虐待される者を選ばないという選択肢は、初めから却下だ。 せっかくのチャンスを不意にするような馬鹿者はここにはいない。 これをするくらいなら、三匹でサイクルで回すほうが効率的だ、というかサイクル回しこそが、この場合最もベストな案であろう。 これなら全員等しく虐待されるので、友情面は何ら変わらない。 しかし、虐待時間は三日に一度、今までの1/3で済むことになるのだ。 もし、今日虐待されるのが誰かで揉めるようなことがあれば、そこはれいむが立候補すればいい。 元々今日最初に虐待されるはずだったのはれいむなのだ。 それに今日虐待されてしまえば、明日明後日は平穏に過ごすことが出来る。 早いか遅いかの違いである。 と、ここまで考えたが、れいむはそれをまりさとありすに言い出しきれなかった。 確かに三匹を平等に考えれば、これがベストな案なのは間違いない。 しかしながら、自身だけに重きを置けば、永遠にゆっくりすることすら可能な選択がある。 二匹との友情は壊したくない。 けれども、相談次第では虐待されないかもしれないチャンスがあるのを、みすみす逃したくはない。 虐待は怖い、痛い、辛い。二度と受けたくはない。 でもまりさとありすに、れいむの代わりに虐待されろとは言えるはずがない。 このジレンマが、れいむの心に重くのしかかる。 そんなれいむの葛藤を余所に、男は言葉をドア越しに言葉をかけてくる。 「まあ、いきなり決めろって言ったって、すぐには思いつかんだろう。一時間後また来る。その時まで、今日誰が虐待されるか考えておけ。決まらなかったら、全員を虐待するからな」 そう言って、男の足音は遠ざかっていく。 が、次の瞬間、沈黙を続けていたまりさが、いきなり声を上げた。 「おにいさん、ちょっとまってね!!」 「ん? なんだ、まりさ?」 男の足音が止まり、再びこちらに近づいてくる。 れいむは、まりさが何を言うのか分からなかった。 まだ三匹で相談はしていない。誰が生贄になるか決まっていない。 何か聞き洩らしたことでもあったのだろうか? すると、まりさはれいむの予想に反して、とんでもないことを言い出してきた。 「おにいさん!! まりさがぎゃくたいされるよ!! だから、れいむとありすにはぜったいになにもしないでね!!」 これにはれいむも唖然とさせられた。 隣にいるであろうありすもそう思ったのだろう。 黙っていられなかったのか、声を出してくる。 「ま、まりさ!! まだそうだんしていないのよ!! それなのに、じぶんからすすんでいじめられるなんて!!」 「わかってるよ、ありす!!」 「ほんとうにわかってるの!! いじめられるのよ!! いたいのよ!! それをじぶんからうけるなんて!!」 ありすは、信じられないといった声色で、まりさに問いかける。 そんなありすの言葉に続いて、男も質問を返してくる。 男にとっても、予想外の展開だったのだろう。 しかし、まりさの返答は変わりはしなかった。 「……本当にいいのか、まりさ?」 「いいんだよ!! まりさがぎゃくたいされるよ!!」 「本当に分かっているのか? ありすのセリフではないが、虐待されるんだぞ。あの痛みを忘れたのか? あの苦しさを再び味わいたいのか? それを自分から進んで買って出るなんて正気か?」 全くもってありすと男の言う通りである。二人はれいむのセリフをすべて代弁してくれた。 賢いまりさのことだ。 れいむと同じ考えに行きついていないはずはないだろう。 それなのに、自分から進んで地獄に飛び込むなんて、まりさはいったい如何してしまったのだ!! 「……ぎゃくたいはまりさもこわいよ」 「だろうな」 「できるなられいむとありすといっしょにいつまでもゆっくりしていたいよ!!」 「ならなぜ自分から進んで虐待されようとする?」 まりさは、男の問いに少し間を置いた後、おもむろに語りだした。 「ぎゃくたいはされたくないよ!! でも、れいむとありすがぎゃくたいされるのは、もっといやだよ!!」 この言葉には、男ばかりかれいむも言葉を失った。 まりさが、自分から進んで志願した理由。 それは、れいむとありすを守るためだというのだ!! れいむは心を叩きつけられるような衝撃を受けた。 れいむにとって、まりさとありすは大切な存在だ。しかし、一方で虐待は受けたくない。 れいむは友情と虐待を天秤にかけて選びきれなかった。 精々譲れない妥協点として、三匹でサイクル回しをすることを考え付いただけ。 自分の被る被害をなんとか最小限にしようということばかり考えていた。 このれいむ考えを非難することなど、誰にも出来はしないだろう。 人間や妖怪ですら、心を強く持つことはとても難しいことなのだ。 増してや、幻想郷におけるヒエラルキーの下層に位置するゆっくりだ。 自分のことを第一に考えても、それは決して責められるべきことではない。 しかし、まりさは違った。 弱いゆっくりという身でありながら、自分よりれいむとありすを優先させた。 自分が被る被害など、初めから頭になかったのだ。 「……それじゃあ何か、お前は二匹の為に進んで虐待を受けるというのか?」 「そうだよ!! ゆっくりまりさだけにぎゃくたいしてね!!」 「二匹の為ってことは、今日だけじゃなく、明日も明後日もお前が虐待を受けるのか?」 「そうだよ!! まりさがゆっくりまいにちぎゃくたいされるよ!!」 「やはり正気の沙汰じゃないな……そんなことをして何になる。自分だけが虐待されるなんて、不公平だとは思わないのか? お前が俺に酷い虐待されている時、他の二匹は悠々とゆっくりを満喫しているんだぞ。妬ましいと思わないのか? 毎日三匹交替で虐待されていけば、全員公平なんだぞ。それが分からないのか?」 「おにいさんおいうことはわかるよ!! でもまりさは、このなかでいちばんおねえさんなんだよ!! だから、がんばらなくちゃいけないんだよ!! それに、まりさのおかあさんがむかしいってたよ!! だいすきなゆっくりは、じぶんをぎせいにしても、まもらなくちゃならないって!! まりさもそうおもうよ!! だから、だいすきなれいむとありすのぶんまで、まりさががんばらなくちゃならないんだよ!!」 「……いいだろう。そこまでいうなら、お前の意地を見せてもらおうか。今日の生贄はお前で決まりだが、明日は明日でもう一度決めるチャンスをやろう。 いつでも今の言葉を撤回して構わない。あまり意固地にはならないことだ」 そう言って、男は隣でゴソゴソ物音を立てる。 まりさを連れていこうとしているのだろう。 「まりさっ!!」 れいむは、そんなまりさに言葉をかけた。 何か言いたいことがあったわけではない。 いや、違う。言いたいことはたくさんあったが、いったい何から伝えればいいのか、考えを纏められないでいたのだ。 まりさの自己犠牲をもいとわない尊い精神と、れいむたちへの深い愛情に対し、いったいどんな言葉で返せばいいのか分からなかった。 自分が何か言ったところで、陳腐な言葉しか掛けられないだろう。 それでも、何か言わなければならない。言わずにいられない。 強迫観念にも似た思いで、まりさの名だけ口にする。 そして壁越しに聞こえてくるまりさの声。 「だいじょうぶだよ、れいむ!! ありす!! まりさはへいきだよ!! どうせいつもとおんなじだよ!! すぐにもどってくるから、ゆっくりまっててね!!」 それだけ言って、男の足音は徐々に遠ざかっていった。 「まりさ……」 再度れいむの口から出てくるまりさの名前。 れいむは、ただただまりさが無事に帰ってきますようにと、必死で願い続けた。 「れいむ……まりさ、つれていかれちゃったね」 ありすが壁越しに言葉をかけてくる。 それに対し、れいむは一言、「そうだね……」と返しただけであった。 何を話せばいいのか分からなかったのだ。 まりさのおかげで、自分たちは今日は虐待されないだろう。 それは、れいむの然程長くない人生の中で、最も嬉しい瞬間であった。 それと同時に、れいむの人生の中で、とても悔しい瞬間でもあった。 まりさの無事を願う反面、虐待されなくて良かったなんて思っている自分がいる。 なんて醜いのだろう。 まりさを助けたい。まりさの役に立ちたい。 もし自分から名乗り出れば、明日はまりさは虐待されないだろう。男も続けてまりさを虐待するくらいなら、きっとれいむを選ぶだろう。 まりさに対して胸を張れるだろう。 しかし、れいむには自分を虐待しろなんて男に言えない。言い出せない。言いだす勇気が持てない。 虐待はされたくない。虐待は怖い。 でも、まりさは助けたい。 れいむの葛藤は計り知れなかった。 おそらくありすもれいむと同じ気持ちなのだろう。 最初の言葉以外、れいむに話しかけてこなかった。 ここに来て以来、初めて味わうゆっくりした一日だというのに、何でこんなに気が晴れないのだろう。 モヤモヤした気持ちは一時間後、虐待を終えた男がまりさを連れてくるまで続いた。 「明日の虐待は今日とは比べ物にならないほどキツイ。安易に自分がなんて、言わない方が身のためだ」 まりさを部屋に戻し、男が挑発してくる。 しかし、まりさの意志は変わらなかった。 「ゆぅゆぅ……ゆぅ………あ、あしたも……まりさがぎゃくた…い……されるよ……れいむとあり……すはいじめ………ない……で…ね……」 苦しそうな声で、しかし、きっぱりと男の言葉を否定するまりさ。 男はそんなまりさを苦々しく思ったのか、「ちっ!」と舌打ちをして、去って行った。 男が行った後も、まりさは荒い息を吐いている。 相当きつい虐待を受けたことが、姿を見ずとも容易に感じられた。 「まりさ……だいじょうぶ?」 なんて声をかければよいのか分からず、れいむは在り来たりな言葉を口にする。 対して、まりさは「ゆっ!! へいき…だよ!! ぜんぜん……へっちゃら…だよ!!」と、不安を見せまいと虚勢を張ってきた。 それが一層れいむの心をかき乱す。 とにかくなんか言葉をかけなければ!! 焦るれいむは、思ったことを適当につなげ、言葉を紡ぐ。 「まりさ、ゆっくりありがとう!! まりさはすごいよ!! やっぱりえらいね!! まりさのおかげで、れいむとありすは、ぎゃくたいされなかったよ!! ゆっくりかっこいいね!! きょうはゆっくりやすんでね!!」 「そうだよ、まりさ!! ゆっくりねむってね!!」 れいむに続いて、ありすも言葉を投げかける。 ありすもどうやら何を言えばよいか分からなかったと見える。 他人を特に気遣うありすだ。 れいむ同様、まりさを頼り切った状況に、悔しく思っているに違いない。 「ありが…とう、れいむ、ありす!! まりさ、ゆっく……りおひるねす……るね……」 まりさはそう返すと、その後、何も言ってこなくなった。 おそらく毛布に包まって、寝入ったのだろう。 今までの日課のパターンと同じである。 れいむとありすは、まりさを起こさないように、「しずかにしようね!」と口裏を合わせ、その後一切の会話をしなかった。 れいむは、まりさの心意気を無駄にしないためにも、精一杯ゆっくりさせてもらうことにした。 この日、れいむの体は久しぶりにゆっくりを味わった。 この日、れいむの心は、一日中ゆっくり出来なかった。 その5へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1786.html
道を歩いていたら茂みから体高30cmほどの変なものが飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!」」 姿を現したのはゆっくりと呼ばれている下膨れの顔饅頭が2匹。 一方は赤いリボンを頭にのっけた黒髪で、もう一方は黒いとんがり帽子と長い金髪が特徴的なゆっくりだった。 どちらも見ているだけで妙にイライラさせられる笑みを浮かべている。 「「ゆっくりしていってね!」」 聞くところによると、こいつらの仲間はこの言葉を聞くと同じように「ゆっくりしていってね!」と返すらしい。 突然の状況に呆然として、その返事をしなかった俺の態度を無視しているものと勘違いした2匹は再びその言葉を口にする。 今度はさっきのような純然たる笑顔ではなく、少し目元がつりあがっていてどこか怒っているようにも見える表情で。 ぴょんぴょんと意味も無く跳躍を繰り返しながら、何度も「ゆっくりしてい」ってね!」を連呼している。 「ゆっくり・・・ゆぎゅ!?」 あまりに鬱陶しいので思わずより近くにいた赤いリボンを付けた方を軽く蹴り飛ばしてしまった。 蹴られたゆっくりは4mほど吹っ飛ばされ、4mほどバウンドし、更に4mほど転がって計12mほど向こうまで飛んでいく。 思った以上に軽く、弾力があり、転がりやすいその体ならではの飛距離だろう。これは面白い。 「ゆううう!ゆっぐぢーーー!ゆっぐぢでぎないよおおおお!」 「ゆーっ!まりさのれいむになにするのー!?」 なるほど、黒髪のほうはれいむで、金髪のほうはまりさと言うらしい。 れいむは蹴られた痛みのせいか身動き一つとれずに泣きじゃくっている。 一方のまりさは俺の前に立ちはだかると空気を思いっきり吸い込んでぷくぅっと頬を膨らませた。 そうやって威嚇しているつもりらしいが人間相手には何の意味も無い。 まりさの前にしゃがみこむと右手で頬に平手打ちを食らわせ、即座に反対側の頬にも平手打ちを食らわす。 「ゆうううううう、ゆぎぃ!・・・ゆぎゅ!・・・ゆぎゃ!・・・ゆげぇ!」 俺が手を振るたびにまりさの膨らんだ頬に挟まれた口から呻き声と空気が漏れ出していく。 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 何度も何度も平手打ちを繰り返し、掌が痛くなってきたところで手を止めた。 「ゆ、ゆ・・・ゆびぃ・・・」 「や、やめてえええええ!でいぶのまりさをいぢめないでえええええええ!」 頬は腫れ上がり、顔中青だか赤だかわからない色に染まり、白目をむいて泡を吹くまりさは一目でわかるほどに満身創痍。 やりすぎたか、と少し後悔していると今度はようやく痛みから立ち直ったれいむがまりさを守るべく声を上げてこちらへやってくる。 ぽよん、ぽよん・・・と1m進むのに5秒はかかる信じられないほどの鈍足で吹っ飛ばされたわずか12mの距離を1分かけて戻ってきた。 そうして、ようやくまりさの前に立ちはだかったれいむは荒い呼吸を整える暇もなく俺に体当たりを仕掛けてきた。 「ゆーっ!ゆんっ!ゆゆーっ!」 顔を真っ赤にして自分の大事な仲間を傷つけた俺に何度も何度もぶつかって来る。 弾かれても弾かれても起き上がってはキッと俺を睨みつけて体当たりを繰り返すその姿は実に果敢だ。 しかし悲しいかな俺に全く効いていない。 それでもれいむはぶつかっては弾かれ、起き上がってはまたぶつかるを繰り返し続ける。 その目にはうっすらと涙がにじんでいて痛みを必死に堪えていることが伺える。 なんだか気の毒になってきた俺は何度目かの体当たりを仕掛けてきた際につま先で引っ掛けるように蹴り上げてやった。 「ゆゆっ!た、たかいよーっ!?」 突然の浮遊感に驚いたれいむは下を見た瞬間に、自分が空高く舞っていることを理解した。 その高度約4m。同時にその高さから落下すれば相当痛いこと理解し、恐怖のあまりに悲鳴を上げる。 「ゆびぇえええええええええええええ!!?」 そうして最高到達点に達したれいむは、徐々に地面めがけて落下していく。 やがてやってくる痛みに備えて目をきつく閉じ、身を小さくしている彼女の体を小刻みに震えている。 「ゆううううう・・・ゆぅ?」 しかしいつまで経っても痛みはやってこなかった。 そのことに疑問を感じたれいむが恐る恐る目を開けると、そこには俺の顔。 流石にこれは死ぬかもしれないと思った俺は落下する前こいつを受け止めたのだ。 ようやくその事を理解したれいむが満面の笑みを浮かべた瞬間、思わず彼女を放り投げた。 「ゆうううううううううううううううううううううううううううう!!?」 ただし、あくまで低空で、バウンドと転がった分によって移動距離を稼ぐようなそんな投げ方。 れいむは俺の狙い通り、あまり舗装されていない地面をごろごろと転がっていった。 「ゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・」 「れいむうううううううううううううう!?」 遥か彼方、と言っても50mほどなのだが、まで転がっていったれいむの名を叫ぶのは頬の痛みから立ち直ったまりさ。 散々一方的に酷い目に合わされ、どんな抵抗も無意味だと理解したまりさは攻撃を仕掛けてくることも威嚇することもしない。 ただ、目から大粒の涙をぼろぼろと零し、きゅっと結んだ口からは嗚咽が漏れている。 「ゆっく・・・まりさたちなにもぢでないよ・・・もうやべでよ、ゆっくぢさせでよぉ・・・」 その声がどんどん涙声になってゆき、やがて泣き声になる。 体裁も見栄も何もかもかなぐり捨てて、まりさはただひたすら大声で泣きじゃくる。 そうすることで「お願いだからゆっくりさせて」と必死に訴え続けていた。 「ゆわあああああああん!ゆうううううううううん!ゆっぐ・・・ゆぅ・・・」 それだけしか出来ない彼女のその姿のなんと弱々しいこと。 何の意味も無く自分達を痛めつけた悪党相手にただ泣きじゃくって許しを請うとしか出来ない。 哀れんでもらって、それから見逃してもらう・・・それだけが唯一の生き残る道なのだ。 「ゆえええええええええええええん!ゆああああああああああん!ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・」 正直、その泣き声が鬱陶しくなってきた俺は大きく開いた口に足を突っ込むと舌と下あごを力任せに踏みつける。 必死の命乞いを無視されたまりさは恐怖と絶望と苦痛と不快感で白目を剥き、ほぼ塞がれた口で必死に何かを喋っている。 それが恐らく相も変わらずの命乞いであることは容易に想像がつくが、それに従うくらいなら最初から何もしない。 まりさの懇願を完全に無視して口内をひとしきり蹂躙しつくしたところで、俺はまりさをれいむめがけて蹴り飛ばし、2匹を解放してやった。 「まりさああああああ・・・!」 「れ、れいむううううう・・・!」 涙を流しながら頬をすり寄せ合って、互いの無事を喜ぶ2匹。 しかし、俺がゆっくりと2匹のほうに歩いてくることに気づくと、必死の形相で茂みの奥へと逃げていった。 「もうやだ!おうちかえる!」 「ゆ、ゆっくいかえるよ!」 もうこれ以上虐めるつもりは無かったのだが、その言葉を聞いた瞬間に食指が動いてしまった。 あいつらの家とはどんなものなのだろうか?他にも仲間がいるのだろうか? そんな好奇心に駆り立てられて、非常に緩慢な動きで近くの森へと向かうれいむとまりさのあとを追いかけることにした。 「ゆっくりかえったよ!」 「「「「おきゃーしゃん、ゆっくりちちぇっちぇね!」」」」 「「ゆっくりしていってね!」」 結論から言えば、この家族は群れなどに属していないようだった。 その代わり、愛らしい子どもが4匹もいるようだ。内訳はれいむ種もまりさ種も2匹ずつ。 れいむ達の巣は彼女達の体格同様に小さくて、人間の俺では中に入れそうに無い。 お菓子の一つもあれば簡単におびき出すことが出来そうだが、今は何も持ち合わせていないので諦めることにした。 「しかし・・・ゆっくり虐めか・・・」 新しい楽しみを見つけた俺は足取り軽くスキップをしながら来た道を引き返した。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ シンプルさを重視したので子ども達への虐待はなし。 ストレスで寿命がマッハだぜ、と言う方は脳内でどうぞ。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1900.html
男は畑へと急いでいた。 育てていた大根がそろそろ収穫の時期なのだ。 柵でゆっくりが入れないようにはしていたが、それでも油断はできなかった。 幸い、作物は全て無事だった。 次々と収穫していく男。 そろそろ残りも少なくなってきたところで、それは現れた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっくりかいつうしたよ!」 「これでここのごはんはれいむたちのものだよ!!」 それはゆっくりれいむとゆっくりまりさであった。大きさはハンドボールよりやや小ぶりといったところだろうか。 既に殆どの野菜を収穫していたが、侵入者を好きにさせる気も無い。 男は自分の服にあるスイッチを押すと、ゆっくり達に近づいていった。 「ゆっくりいただくよ!」 「きょうからここがまりさたちのゆっくりぷれいすだね!!」 好き勝手なことを言いながら大根へとかけて行くれいむとまりさ。 だが、そこで異変が起きた。 「ゆっ、おそらをとんでるみたい!」 「すごいね、これならおそらでゆっくりできるね!!」 男はゆっくり達を手に持ち、 「ゆぎゅっ」 「ゆぐっ」 そのまま柵へと投げつけた。 勿論、潰れないように手加減をしてだ。 「ゆっ? ゆっくりごはんをたべるよ!」 「いただくよ!!」 先ほど起こったことが理解できずに再び大根へとかけて行く。 だがしかし、何度やっても結果は同じ。 「ゆぎゃっ」 「ゆぎぃっ」 「ゆげぇっ」 「ゆぎゅぅうっ」 特定の場所まで進むと柵まで飛ばされてしまう。 「ゆぎぃ゛ぃぃ゛ぃぃぃ゛れいむのごはんな゛のにぃ゛ぃぃ゛ぃ」 「なんだかわからないけどはやくたべさせてね!」 何度も何度も向かってくるれいむとまりさ。 目の前にエサがあるのに食べられないことでかなりイライラしていた。 それを気にせず、何度も捕まえては投げる男。 ここまできても、れいむとまりさは男に気づく気配どころか気にしてる素振りも無い。 それもそのはず、男の姿は見えていないのだ。 光学迷彩スーツ。 河童のテクノロジーが人間の里にも浸透し、今や大人気となっていた。 「ゆぎいいい゛いいい゛いぃぃぃぃいぃおねが゛い゛だがら゛だ゛べざぜでぇぇぇっ」 「ま゛り゛ざのごはんな゛んだ゛からゆっぐりだべら゛れで゛ぇぇぇえ゛えぇっ」 さて、次はどう遊んでやろうか―あ、そうだ。 男は一本の大根を引き抜いた。 そして柵の近くで悔しがっているれいむ達の前で突き出した。 「ゆっ、やさいさんからきてくれたよ!」 「さいしょからそうしてよね!!」 それを見るや否や、即座に食いついてくるまりさとれいむ。 あと少し、というところで男は大根を引っ込めた。 「ゆっ? やさいさんはあそこだよ!」 「そこからうごかないでね!!」 再び飛びついてくるゆっくり。 男はもう少しというところでやはり避けさせ、徐々に畑から離れるように誘導していった。 「まって、まって、そこでゆっくりしてね!」 「まりさのごはんなんだからそこでゆっくりしててね!!」 そのことに気づかずに追いかけてくるれいむとまりさ。 やがて、森の中の川に差し掛かってきた。 「ゆ、ゆっくりまってね…」 「まりざのごばんなの゛にぃ゛ぃぃっっ」 疲労困憊ながらも追いかけてくるゆっくり。 男は川の瀬に立つと、大根を持っている手を川の方に伸ばした。 ちょうど、川の上に大根が浮いている形である。 「ゆっ、かわのうえにやさいさんがいるよ!」 「ゆっくりおりてきてね!!」 ようやく追いついてきたゆっくり達。 ぎりぎりの位置まで進むがそれでも届きそうに無かった。 男は無視してそのまま大根をぷらぷらと漂わせた。 「れい゛むのごはん゛の゛ぐぜにぃぃぃっっぃっ!!」 「ふんっ、もうしらないよ! そこでずっとゆっくりしててね!!」 やがて諦めたのか、思い思いの捨て台詞を口にして去っていくゆっくり。 そこで男は大根をゆっくり達に向かってひょいっと投げた。 「ゆぎっ、やっとたべられてくれるんだね!!」 「きのきかないやさいだったけどゆっくりたべてあげるよ!!」 頭にぶつかったのが大根と確認すると、今度こそとかぶりつこうとする。 そこで男は大声で叫んだ。 「おうおうおうおう、俺を食べようなんてふてぇ奴がいたもんだ!!」 「ゆっ、だれ? これはれいむたちのみつけたごはんだよ!」 「そうだよ! だれなのかしらないけどゆっくりかえってね!!」 ゆっくり達が周りを警戒している間に男は大根を拾い上げ、ゆっくり達の目の前に立てた。 「俺だよ、俺! まったくゆっくりの分際で俺を食おうなんて失礼な奴らだぜ」 「ゆゆっ、このやさいさんしゃべったよ!」 「へんなこといってないでまりさたちにたべられてね!」 「面白ぇ、やれるもんならやってみな!」 そう言って挑発的な動きをする大根。 八の字のようにゆらゆらと動いていた。 「ゆっくりたべられてね!」 突進してくるまりさ。 それをスッと避けると、そのまままりさに体当たりを喰らわせた。 吹っ飛んで木にぶつかるまりさ。力を入れすぎると自身が砕けかねないので、十分に手加減して叩きつけてやった。 「ゆべっ」 「うわ、よっわー」 「やさいさんはれいむのごはんだよ!!」 今度はれいむの突進。 さっきのまりさを見ていなかったのかというくらいの単調な突進であった。 先ほどと同じように避け、今度は地面に叩きつけてやった。 「ゆぎゅぅい」 「ほらほら、そんなんじゃ俺を食べるどころか逆に食べられちまうぜ」 「よぐもれ゛い゛むをぉぉぉぉっゆぎゅぇ」 「はい外れー」 「ま゛り゛ざぁぁぁぁゆぶぇっ」 「おぉっと危ない、なーんてね」 10分後。 そこには何度も叩きつけられぼろぼろになったれいむとまりさの姿と、そのままの大根があった。 「なんだなんだ、おめーらすっげぇザコだな」 「ゆぎぃ゛ぃぃぃぃぃっ! ごばん゛の゛ぐぜにぃぃっっ!!」 「い゛い゛がらだべら゛れ゛ろぉぉっっぉお゛ぉ!!」 歯をむき出しにしながら怒りを露にしているゆっくり達。 しかしいつまでたっても一噛みすら与えることができない。ゆっくりの餡子脳なんてその程度のものなのだ。 「ま、これに懲りたら俺達野菜を食べようなんて思わないこったな」 そういい残して畑の方へ戻っていく大根。もとい、男の手で運ばれる大根。 後ろには満身創痍のゆっくり達の悔しそうな悲鳴だけが聞えていた。 「やざい゛の゛ぐぜににぃ゛ぃ゛ぃっっっ!」 「ゆぎぃぃぃっっっっ! ゆ゛っぐりだべざぜ゛ろろ゛ぉぉっっっ!」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1184.html
*警告* 虐待は行間のみです。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 ゆっくりの飼い主が知っておくべきいくつかの事 1.ゆっくりは饅頭です 強い刺激をあたえると、簡単に潰れてしまいます。たとえば、積んである本が崩れたり、 観葉植物が倒れたり、折り畳み椅子の下敷きになっても潰れてしまいます。ゆっくりの強 度を把握していなければ、あなたのお部屋はゆっくりの楽しいアトラクションになること でしょう。節度を持って、死ぬまで可愛がりましょう。 2.ゆっくりも生きています ゆっくりは雑食で、排泄もしないので大変飼いやすいナマモノです。すぐに空腹を訴え ますが、毎回に餌を与える必要はありません。希望の大きさまで成長させたい場合と、に んっしんっ前後以外は一日一回、ゆっくりフードか生ゴミ、残飯の類を与えるだけで充分 です。ただ、饅頭ですので高温、乾燥、湿気、水分には弱いので気をつけて下さい。日中 あまりに高温になる部屋に放置して干からびてしまった場合、器に移してジュースに浸せ ば簡単にもとにもどります。逆にカビが生えてしまったら、残念ながら処分する他はあり ません。楽しいゆっくり生活には環境に気を配らなくてはなりません。 3.ゆっくりと環境 他のゆっくりや他のペット、あるいは小さいお子さまがいる場合は、より慎重に飼わな くてはなりません。ゆっくりは饅頭です。可愛いペットが餡子を食べてしまったり、お子 さまが饅頭を喉に詰めたり、ブチ撒けてしまう危険と隣り合わせです。水槽を割ったり、 中に落ちて、アクアリウムが壊滅してしまうかもしれません。それらの場合、ゆっくりを より安全な環境で飼うことを検討する必要があります。ゆっくりのことなら信頼のお兄さ ん印、鬼意製薬の透明な箱で飼ってみてはいかがでしょう。 4.ゆっくりは口をききます 出身スレによっては、あなたが出かけている間に「ゆ~♪ ゆゆ~♪」などと鳴いて、 近隣への騒音被害が起こる場合があります。また、虐待スレ出身の場合、大変汚い言葉を 吐いてトラブルの原因になる場合も多くみられます。ご近所もゆっくりできるよう、室内 飼いは部屋に防音処理をするか、最低でも防音ケースに入れるべきです。鬼意製薬の透明 な箱-完全防音-は安価で頑丈で、おすすめです。室内飼いのみであれば自分で鳴いたり 笑ったりできなくする処理をしても楽しいのですが、万一外に連れていった場合、縫った り塗ったりしたゆっくりを愛でお兄さんやゆっくリーンピースに見られ、トラブルの原因 になるかもしれません。飼いゆっくりを外に連れていく場合、かかりつけのゆっくりにっ くでクラシックゆっくり言語以外を発音できなくなるよう、適切な処置をしてもらうのが 一番よいかもしれません。外に連れ出した時に、一般の方をゆっくりの鳴き声で不快にさ せては飼い主失格です。 5.ゆっくりも繁殖します 喋って跳ねる饅頭ですが、ゆっくりも繁殖します。産まれたこどもまできちんと責任を 持つことは、飼い主の最低限の勤めです。産まれたての赤ゆっくりは大変美味ではありま すが、繁殖を希望しない場合、かかりつけのゆっくりにっくで適切な避妊、去勢手術を行 いましょう。特に多頭飼いの場合は必ず手術を受けさせるべきでしょう。 6.放し飼いは避けましょう 現代社会はゆっくりしづらい環境です。交通量の多い道で事故の原因になったり、あな たのゆっくりが他の人の家や店舗を荒らしたり、ゴミ捨て場を荒らすかもしれません。荒 らしたゴミとゆっくりの両方が、カラスやハト、野良犬、野良猫に餌を与えることにもな ります。また、野良ゆっくりと繁殖したり、逆に病気をもらってくる事も考えられます。 外に出して近隣に迷惑を掛けるような飼い方は極力避けるべきです。一緒に連れていく場 合も、前述の通り、ゆっくりの声によるトラブルには極力注意して下さい。 7.ゆっくりを捨てないで 人間の食べ物の味を覚えたゆっくりが飼い主に捨てられて都市部で野生化し、ゴミを 漁ったり、人家、店舗を荒らす被害が増えています。ゆっくりは飼っても食べてもゆっく りさせなくても楽しいナマモノですが、ペットを捨てることは許されることではありませ ん。ゆっくりを捨てるのはSSや漫画の中だけにしましょう。 8.ルールを守って楽しく虐待 他の人の飼いゆっくりがどれほど不快でも、勝手に虐待することは歓迎されることでは ありません。飼いゆっくりを勝手に虐待すると民事的には器物破損にあたります。ゆっく り被害(ゆ害)は極力、当事者間の話し合いで解決しましょう。また、個人的な虐待でも、 無関係の人の目に触れるような公然プレイはなるべく避けるべきでしょう。 9.最後に ゆっくりは正しく飼えば、ゆっくりと楽しむことができるナマモノです。正しい知識を もって、楽しいゆっくりライフを。 『完全ゆっくりマニュアル』 鬼意製薬出版 刊 2008,08/30 第一版序文 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2398.html
※厨なオリキャラ注意 ※もはやゆっくりじゃネエヨ的なゆっくり注意 ※ドス注意どころの騒ぎではない ※舞台が現代なのに蓮子・メリー以外の原作キャラ注意 ※れいぱー注意 ※何かもうやりたい放題注意 「しゃちょ~・・・なんで、私が貴女と一緒に山登りをせにゃならんのですか?」 「ん~、そうねぇ・・・そこに山があるからかしら?」 「意味が分からん!」 私はゆっくりカンパニーの系列店『ゆっくりショップ』でアルバイトをしている程度の普通の女子大生だ。 現在、何故かゆっくりカンパニーの(見た目は)若き(年齢不詳の)女社長と一緒に山を征服中。 一体何故、と訊かれても社長が何も語らない以上、私にも分からない。そもそも、社長と私には殆ど接点がない。 服装こそいかにもこれから登山!と言った感じのものになっているが、寝ている間に社長に着せられたものだったりする。 ついでに言うと、寝ている間の連れてこられたので、ここが何県にある何という山なのかも全く分からなかった。 それ故に釈然としない気持ちを彼女から渡された登山用のリュックと一緒に抱えながら、えっちらおっちら歩を進めていた。 「ふふ・・・素直で宜しい」 文句を言いながらもついてくる私を見て、社長は微笑む。 当の彼女の服装は八卦の描かれたどこかチャイナテイスト・・・のような気のする紫色のドレスで、とても登山向きではなかった。 なのだが・・・社長は年齢(不詳だけど)を感じさせない軽やかな足取りで、うふうふ笑いながら事も無げに先へ先へと進んでいる。 そんな彼女のウェーブのかかった艶っぽい金髪の揺れる背中を見つめながら、私は完璧超人っているものなんだなぁととしみじみ思った。 美人で、若くしてひとやま当て、あの体力で、きっと頭も良いのだろう。もっとも、真性の変人ぶりが全てを台無しにしているが。 「さあ、目的地まであと1200mよ、もちろん高さで。三次元を感じましょ」 「『しょ』じゃない。寝起き早々それは拷問・・・そもそも、ここ何処?」 「ひ・み・つ♪」 社長の口から飛び出したかなりあんまりな数字にため息を吐きつつ突っ込みを入れるが、当然全く相手にしてもらえない。 目元に胡散臭い笑顔を浮かべ、いつの間にやら取り出した扇子で口元を隠した、全く思考の読めない表情で私の様子を伺っている。 ここは何処なのか、何故登山をさせられているのか・・・などなど、私の問いはことごとくはぐらかされていた。 この質問をすること自体、もう何度目になるかも分からないような有様で、既に諦めてはいるけれど。 まともに回答を得られた質問と言えば「うちのゆっくりどもは?」というものくらいだが、今の私の置かれている立場を把握する上では何の意味もない。 「はぁ、酒でも飲みながらゆっくりするつもりだったのに・・・」 「肉体労働の後の一杯は最高よ?」 「理由の分からない強制労働でなければ、ね・・・はぁ」 暖簾に腕押し、柳に風、ぬかに釘・・・こういう諺は枚挙に暇がない理由が何となく理解できた。 きっと、昔の人もこういう偉い人の酔狂に振り回され、会話のドッヂボールに惨敗し、頭を抱えまくったんだろうな・・・。 相手がゆっくりというわけでもないのに会話が成立しないというのはなかなか煩わしく、私は心の中で毒づいた。 このゆっくり人間がッ!・・・と。いや、ゆっくり人間にどうこう言うつもりはないが。 「と、まあ、出発と終着の境界を飛び越えて、目的地に到着」 「何が飛び越えて、だか・・・あ゛ー疲れた~・・・」 4時間後。私と社長は苦労の甲斐あって無事目的の場所とやらに到着した・・・らしい。 何故「らしい」と付くのか?答えはいたって簡単で、ここが山頂ではなく、そこを目的として登山する理由が見出せないから。 山頂はまだ大分先で、右を見ても左を見ても木々が鬱蒼と生い茂るばかり。どう見ても道に迷ったとしか思えない。 道中を省略されてしまったので分からないかもしれないが、何度か質問はした。そして案の定、はぐらかされた。 「ふむ・・・なるほど・・・あらあら・・・」 で、今に至っては一人で辺りを見渡しながら、うんうんと頷きつつ、何か訳の分からないことを呟いている。 万が一にも実は「ふむ・・・なるほど、道に迷ったのね?あらあら、大変」なんて言っていたら、たとえ社長でも張り倒してやる。 そんな事を決心しながら、限界に近い足をゆっくりさせてやる為に近くにいたゆっくりに腰かけ、悠長な様子の彼女を睨め付けていた。 「ゆぐっ・・・」 ようやく一息つけたということもあって思わずため息が漏れる。さっきから漏れっぱなしのような気もするがこの際、気にしない。 「ゆっくりぃー・・・」 散々山道を歩き続けた私の足はもはや抱腹絶倒の大爆笑で、喉は乾季の砂漠の如くカラカラだった。 「ゆっくりしてよー!」 それに、無理矢理連れてこられたものだから朝ごはんも食べておらず、その事を思い出した途端にお腹の虫が鳴きだした。 「ゆっくりできないよぉー・・・」 腹の虫がまるで我が家で飼っているゆっくりどものようにゆーゆーと喚いてうるさいったらありゃしない。 「・・・・・・んあ?」 「ゆえーん!ゆっくりできないよおおおおおお!?」 「あら?」 私のお尻の下で泣いているのは一匹のゆっくりれいむ・・・・・・どうやら私は本当に疲れていたようだ。 そこにゆっくりがいると理解した上でゆっくりに腰掛けたのに、ゆっくりがいることを完全に失念していた。 かなり大きな個体で体高は70cmくらいはあるが、中身が餡子のクセに異様に軽いゆっくりの場合、体重は20kgあるかどうか。 なおかつ彼女達は非力だ。その上に2倍以上の体重があるであろう私が乗るとなると相当な苦しみを伴う。 「ゆえーん!ゆえーん!いだいよおおおおおお!?」 「・・・はぁ、参ったなぁ」 「あらあら、大変」 いや、大変というよりも面倒臭いんだよ・・・そう突っ込んでやろうと社長のほうを振り向くが、彼女は私に背中を向けて、あらぬ方向を見ていた。 そして、その視線の先には・・・何故か、社長を下膨れ饅頭風に、つまりゆっくり風にデフォルメした巨大ゆっくりがいた。 あれは確か『ゆっくりゆかり』、またの名を『ゆっかりん』と呼ばれるゆっくりだ。それにしても本当に馬鹿でかい。 念のために言っておくけど、1mやそこらの大きさじゃない。目測だが、5mを優に超える規格外の巨体である。 『ゆっかりんたちのゆっくりしたおうちからゆっくりいね!』 力強い怒声と共に社長をデフォルメしたような風貌の饅頭巨体が社長本人めがけて思いっきり突進してきた。 いくらゆっくりと言えどこのサイズになれば重さも相当なもの、1tを超える可能性だって否定できない。 流石にこれは不味いんじゃなかろうか?しかし、私が助けに入ってどうにかなるような状況でもないし、第一間に合わない。 しかし、多分原因が私にある以上、放っておくわけにも行かず、やれやれとまたため息をつきながら立ち上がったとき、社長は左手の掌を突き出して私を制止した。 そして右手の扇子を閉じると、巨大ゆっかりんに向かって掲げ・・・巨体の持つすべてのエネルギーを容易く受け止めてしまった。 厳密に言えば、扇子の先から発せられているくるくると回る不思議な光の壁によって膨大なエネルギーが無力化された。 『ゆっ・・・ゆゆっ!?』 「んなっ・・・?!」 「・・・貴女は囮。本命はあっちの子ね」 その美貌に相応しい、思わず聞き惚れてしまいそうな妖艶な声で囁く彼女の左手にはいつの間にかクナイが握られている。 そして私の、いや正確には私の後ろにいる何かを一瞥すると巨大ゆっかりんを制したその姿勢のまま、腕力だけでクナイを投擲した。 本来は工具だったと言われているそれが時速100km近い信じがたい速度で私の横をすり抜けて行く。 ありえない速さではないが、壁を這うゴキブリを赤ゆっくりで潰せる程度には野球やソフトボールの経験のある私の目にはそれはありえないものだった。 常識的に考えて、腕力任せの下手くそな投擲で、あんな速度を出せるはずがない。 『ゆぎゃ!?』 クナイが通り過ぎた直後、背後から短い、しかしはっきりと聞き取れる大きな悲鳴が聞こえた。 とっさに振り返った私の視線の先にいたものはもう一匹の巨大ゆっくり。こちらはまりさ種で、恐らくドスまりさと呼ばれるゆっくりだろう。 見るのは初めてだが、有名な巨大種だから、間違いない。最強のゆっくりと名高いそれが、たった一本のクナイで無力化されている。 舌を突き出して、ごろんごろんとのたうち回っては周囲の木々をなぎ倒し、自分の皮を傷つけていた。 『ゆゆっ!どうしたのまりさ!?』 『ゆぎぃぃぃいい!したがっ!したがああああ!?』 「ドスパークのエネルギーを充填しきる前に暴発させてもらっただけよ、死にはしないわ」 飄々と、今の社長にはそんな言葉が良く似合う。2匹の巨大ゆっくりを前にして、彼女の余裕に満ちた心も、衣服も全くと言っていいほど乱れていない。 ドスまりさは口内の火傷のせいで戦闘を続行できるような状態ではないし、巨大ゆっかりんも既に戦意を喪失していた。 全く状況を飲み込むことが出来ないが、一つだけ確かなことは私は今まで人外の何かから給料を貰っていたということだろう。 さて、どうしたものか・・・と頭をかいていると、今度は木々の陰から無数の通常サイズのゆっくりが躍り出てきて、社長めがけて石をぶつけ始めた。 「「「ゆっくりーー!!」」」 「どすをいじめないでね!」 「「ゆっくりできないよ!」」 「「「「「ゆっくりできないおねーさんはゆっくりどこかにいってね!」」」」」 小さな体をめいっぱい使って、あらん限りの力を振り絞って、口にくわえた石を投げつける通常サイズのゆっくり達。 相手は巨大種が2匹同時に挑んでも敵わない、まさに次元の違う強大な存在、ソレと対峙することが怖くないはずがない。 しかし、ゆっくり達は社長に睨まれ、怯みながらも逃げ出さずに果敢に投石を繰り返す。 もっとも、腰が引けているせいで殆ど届きさえしないし、届いたところであっさりと叩き落されているのだが。 「へぇ・・・こっちでよくもまぁ、これだけのゆっくりを集められたものね」 飛んでくる石の中から、当たるであろう石を瞬時に、かつ正確に見極めて、空いている左手でそれらを叩き落とす社長。 彼女の目は一見微笑んでいるように見えるが、「痛くも痒くもないけど向かってくるのなら仕方ない」という消極的な殺意が宿っている。 その殺意の外にいる私でも背筋が凍りついて、蛇に睨まれた蛙のように身動き一つ取れない。おお、怖い怖い。 『ゆゆっ!み、みんな止めるのよ!お姉さん、この子たちはゆっかりんを守ろうとしているだけよ!』 「言われなくても分かるわ、それくらい」 『だから見逃してあげてね!ゆっくり出来ないのはゆっかりんだけでいいのよ!』 「あら、何かしようってつもりはなかったのに、貴女から進んで研究対象になってくれるなんて、嬉しいわ」 「「「「「「ゆっかりんをゆっくりさせないおねーさんをゆっくりやっつけるよ!」」」」」」 最後の社長の言葉を聞いたゆっくり達は、投石による攻撃を諦めて体当たりを仕掛けようと接近する。 どう考えても投石のほうが効果的な気もするが、これだけの数がいるのなら案外押しつぶすことも出来るかもしれない。 もっとも、相手が巨大種の突進を容易く受け止めるような化け物でなければの話だが。 「・・・ゆっくりにしては勇敢ね」 リーダー思いのゆっくりを見つめる今の彼女からはいつの間にか殺気が消え、どこか慈悲深い笑みをたたえている。 先ほどの殺意など微塵も感じさせない、太母という言葉が似つかわしい、そんな柔和な表情。 貴女達の勇気に免じて・・・社長はそう呟きながら、ゆるやかな、そしてしなやかな動作で左手を右から左へ振った。 「「「「「「ゆゆゆっ!?」」」」」」 すると、一瞬にしてその場にいた全てのゆっくり達が足元に出現した不気味な穴へと吸い込まれていった。 突然の巨大饅獣VS超人の対決からおよそ3時間後。 現在、私と社長は巨大種2匹を含むゆっくり達から手厚い歓迎を受けていた。 『おねーさんもおねーさんも、ゆっかりんのおうちでゆっくりしていってね!』 『ゆっくりしていってね!』 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 「「はいはい、ゆっくりゆっくり」」 私たちの周りをにこにこ笑顔を浮かべながら跳ね回り、喧しく騒ぐゆっくりども。 先ほど、スキマ(と言うらしい)に落とされたゆっくり達は全員傷一つない状態で、ゆっかりんの傍に落とされたので一匹たりとも欠けていない。 ソレによって、察しの良いゆっかりんが私たちに害意がないことに気付き、お詫びの意味も兼ねて歓迎したいと言い出し、あれよこれよという間に今に至る。 「ところで社長・・・」 「何かしら?」 「結局、何で私が同行させられたんで?」 「それはね・・・貴女がゆっくり人間だって聞いたからよ。私だけじゃリーダーがみょん種だったら会話が成立しないもの」 いや、私は生物学的見地から至極平凡な人間である事が証明されているんだが。鏡見ても普通に人間にしか見えないし・・・と言ってたところで話を聞きそうにないか。 やれやれ、と心の中で呟きながら、目の前にうず高く詰まれた宴会用の食料の山に目をやる。 雑草や虫など人間があまり食べないものがメインだが、中には私でも食べられそうな果実やキノコなんかも積まれていた。 それらを川で洗い、時には近くにあった木の枝を洗ってから、ソレに突き刺して、社長の熾した火で炙って食べる。 「むしゃむしゃ・・・んまい♪」 「そうねぇ、たまにはこういうのも悪くないわねぇ」 「これでお酒があったら言うことないんだけど・・・」 「・・・飲む?」 なんだかよく分からないがとりあえず食べられるキノコを咥えたまま、中空にスキマを作り出した社長は、そこから大きな瓢箪を取り出した。 スキマの中から「こらー!私の瓢箪返せー!」という声が聞こえたような気がしたが、スキマが閉じられ、確認する術がないので気にしないでおこう。 そして、いつの間にやら用意していた2人分のコップにお酒を注ぎ、そのうちの一つを私に手渡した。 「ありがたくいただきます、社長!」 「ふふ、現金ね」 コップを受け取り、乾杯を済ませた私たちは最初の一杯目を一気に飲み干す。 それからは、各々勝手に瓢箪のお酒を注いでゆく。私も社長もかなりのハイペースなのに瓢箪のお酒は一向になくなる様子を見せない。 どうなっているんだろうと思ったものの、昼間に彼女が人ならざるものであることを散々見せ付けられていることもあってか、追求する気にはならなかった。 美味しいお酒が沢山飲めるのならそれでいいじゃないか。 『ねえ、お姉さん達!』 「ふぅ・・・なにかしら?」 これで7杯目になるお酒を飲み干した社長は、ドスまりさの呼びかけに応じて彼女の方を向いた。 一方、私は「達!」と言われた所で巻き添えを食っただけの身の上なので、全てを社長に任せて、適当に群れのゆっくりと戯れる。 先ほど下敷きにしてしまったれいむが、お酒に興味を示していたので少しだけ飲ませてやると、不味いと叫びながら泣き出してしまった。 社長はそんな私を横目で一瞥して「早くあやしなさい」と無言の圧力をかけて来る。 『お姉さん達はここに何しに来たの?』 「私たちはここのゆっくりの調査に来たのよ」 『ゆっかりんたちの調査?』 「ええ、最近この山でおかしな事が起きていると聞いたものだから」 私に抱え上げられてあっという間に機嫌を直し、「おそらをとんでるみた~い」と大喜びするれいむの目を見ながら、2匹と1人の話を聞いていた私はようやく合点が行った。 確か、ゆっくりカンパニーの環境方針には野生のゆっくりや野良ゆっくりによる生活環境や自然環境への影響の調査や予防が含まれている。 今までの調査でこの山にゆっくりが生息していることを把握していた彼女は、この山の異変がゆっくりによるものではないかと調査に乗り出したんだろう。 ・・・理由が分かったといっても、何の意味もなく巻き込まれたことはやっぱり腹が立つが。 『おかしな事ってどんな事?』 「一晩で木々が30本ほどなぎ倒されていたり、大木に絞め殺しイチジクにでもやられたみたいな跡があったり・・・」 『ゆゆっ!まりさ達そんな事しないよ!』 社長の言葉に反応して、自分たちの無実を訴えるゆっかりんとドスまりさ。 もっとも、社長も彼女達がそんなことをするとは思っていないようで、分かってるわとだけ言って頷く。 私もその意見に全面的に同意で、とてもじゃないかこいつらが無差別破壊をやらかすとは思えない。不可抗力で・・・という可能性はあるが。 そもそも、そんな目立つ行動を取ってしまってはドスまりさ達の存在が公のものになってしまうのではないだろうか? そして、そんなデカブツを素直に放置してくれるほど世間様は甘くないだろう。 「そう・・・仕方ないわね、続きは明日にして、今日はここで寝ましょう」 『お姉さん達はゆっくり出来るからまりさ達と一緒にゆっくり寝てもいいよ!』 ちょっと待って欲しい、平凡な人間である私はあんな巨大饅頭に寝返りを打たれたら死ぬ。 しかし、既に寝る気満々の社長にそんな私の命に関わる重要なツッコミ入れる隙は一瞬たりとも存在しなかった。 ゆっくり風に言うならば、ごわぐでぜんぜんゆっぐりでぎないよおお!と言ったところだろうか。 いつ寝返りを打つか分からない巨大種2匹に戦々恐々で、全く眠りにつくことのできなかった私は、集落から200mほど離れた小川で夜風に当たっていた。 適当な岩に腰掛け、夜空に瞬く無数の星を眺めながら、川のせせらぎと風に揺れる木々のざわめきに耳を傾ける。 「・・・・・・・・・静かだなぁ」 自宅にいる時はこの時間ならまだれいむ辺りを抱きかかえたまま、テレビを見ながらすいかの角の酒を飲んでいる頃だろうか。 何にせよ、パジャマに着替えたは良いがまだまだ宵の口といった程度で、バカ騒ぎの真っ最中だろう。 あいつら、今頃どうしてるかな?・・・案外平然としてたら癪だな。 社長が面倒は部下に見せていると言っていたけど、迷惑をかけていないだろうか? などなど、気がつけば鬱陶しい金食い虫の居候のことを考えている自分に気付き、思わず苦笑が漏れる。 『ゆゆっ!どうしたの、お姉さん?』 とまあ、一人最近のラノベにありがちな語り部も兼ねる無気力系主人公の成長フラグみたいなことを考えていると、巨大ゆっかりんが小川にやって来た。 ぽよんぽよんと体高だけでも私の3倍を超えようかという巨体を揺らしながら私の隣に跳ねてくる。 うっかり踏まれたりぶつかられたりすると即命に関わるのかと思うと少々笑えないが、流石にそんな失敗はしないだろう。 予想通り、私の傍まで来たところで跳ねるのを止め、底部を細かく動かして私の隣に腰を下ろすゆっかりん。 立っているのか座っているのかの区別のつかない連中ではあるが、多分座っているつもりなのだろう。 「んあ・・・ゆっくりしてただけだよ」 『ゆゆっ!じゃあ、ゆっかりんも一緒にゆっくりするわ!』 ちょっと予想外の展開。ゆっかりんは力を抜いてゆっくりとした表情を浮かべ、ゆっくりした雰囲気を放ち始めた。 まさにこれこそゆっくりといった感じだ。ゆっくりのゆっくりたるゆえんをゆっくりとゆっくりしてゆっくり体現している。 でかくてもやっぱりゆっくりはゆっくりなんだな、と妙に感心してしまった。 『お姉さん』 「んあ?」 『お姉さんはとってもゆっくり出来る人だわ!だから・・・す~りす~りしてもいいかしら?』 「止めて、プレッシャーだけで死ねる」 『ゆぅぅぅ・・・・・・』 涙目になるな鬱陶しい、とは巨大饅獣相手には流石に怖くて言えなかった。 何を饅頭ごときにと思うかもしれないが、そういうことは袈裟懸け(ヒグマ)の2倍に達する巨体を目の当たりにしてから言って欲しい。 でかいというのはとにかく理不尽かつでたらめなものなのである。おお、饅頭怖い饅頭怖い。 『そうだわ!だったらお姉さんがゆっかりんにすりすりしてね!』 「・・・何その斬新な発想?」 『ゆっかりん暖かいわよ?ゆっかりんの綺麗な髪に包まってもいいのよ!』 なまじ(何故か)社長をデフォルメしたようなデザインも手伝ってか、なんか殴りたくなってくる。 ・・・のだが、物凄く期待に満ちた眼差しでこっちを見ていることに気付いてしまい、なんだか断れなくなってしまった。 チクショウ、こいつ綺麗な目ぇしてやがるじゃないか・・・。 「・・・わかったよ、すりすりすりゃいいんだな?」 『ゆっかりすりすりしてね!』 「はいはい・・・」 しぶしぶゆっかりんの髪を引っ掴んで包まり、ゆっかりんの頬にぴたっとへばりつき、頬擦りをする。 ゆっくりゆかり特有の(と思われる)物凄い弾力と、意外にも綺麗で張りがあって艶やかな頬は想像を絶する触り心地の良さだった。 それに・・・ゆっかりんの頬、暖かいナリ。悔しい、悔しいが認める。こいつ気持ち良い。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 『ゆゆ~ん、やっぱりお姉さんはゆっくりしてるわ!ゆっかりんのお母さんみたい!』 「いろんな意味でお前みたいな子どもはいらない」 『でもね・・・ゆっかりんのお母さん、ずっと昔に死んじゃったんだよ・・・凄く強くて大きなドスまりさだったけど・・・』 「・・・・・・」 ああ、もうチクショウ、潤んだ目でこっちを見るな。分かったから、気が済むまですりすりしてやるから! 観念した私はがしっとゆっかりんの頬を掴んで頬擦りをしてやると、ゆっかりんはだらしない笑みを浮かべて一層ゆっくりし始める。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 昔、友人に性格と口は悪いけど面倒見が良いからなんて理由で部活の副部長に推薦されたのを思い出した。 彼女達がそんな具合に仲良くゆっくりしていた頃、山では異変が起きていた。 「ゆぐっ!?やべでね!でいぶのおぢびぢゃんゆっぐぢさせであげでね!?」 「「「「おきゃあああぢゃああああああん!!」」」」 群れには属さないゆっくり一家の巣のすぐ外で、惨劇が繰り広げられていた。 そのゆっくりれいむのつがいはゆっくりまりさで、彼女達の間には7匹の子どもがいた。 4匹がゆっくりれいむで、3匹がゆっくりまりさ。皆とってもゆっくりした可愛い子ども達だった。 しかし、いまやつがいのまりさも3匹の子まりさも黒ずんで朽ち果てていた。 彼女達の亡骸の頭には無数の蔦が生えている。が、あまりに量が多く、実を結ぶことはない。 『んっほっほ・・・おちびちゃんたち!ありすのとかいはなあいをそそいであげるわ!』 「やめぢぇえええええええええええええ!?」 「うにぇうにぇしゃんきょあいいいいいいい?!」 「おきゃああああああしゃあああん!」 彼女達に絡みついて身動きを封じるのは太くて長い触手。そして、それらの持ち主はゆっくりありすの変異種だった。 しかも、馬鹿でかい。体高は2mを上回り、触手も太い部分は成人男性の腕くらいの太さでなおかつ4mほどの長さ。 そんなものが10本ほど、巨大なゆっくりありすに備わっていた。 大方、性欲によって定向進化でもしたのだろうが、これはもはやゆっくりではないと言わざるを得ない。 「やべでね!でいぶのおぢびぢゃんにひどいごどぢないでね!?」 『ひどいことなんてしてないわ!とかいはなあいをあげているのよ!』 「ゆびぇ!・・・ぢゅ、ぢゅっぎぢー・・・・・・」 本来ならばすっきりの恐ろしさなど子ゆっくりには漠然としか分からない。 しかし、まりさ達が犯し殺されるのを目の当たりにしている子ゆっくり達はそれがゆっくり出来ないことであると理解している。 だからこそ、必死になって巨大ありすの触手から抜け出そうと抵抗するが、あまりにも力が違い過ぎる。 何度目になるかも分からないすっきりさせられて黒ずんだ子れいむが投げ捨てられ、さっきまで彼女の上を這いずっていた7本の触手が別の子れいむへと大挙する。 『ゆふふふふふふっ・・・つぎはあなたをとかいはにこーでねーとしてあげるわ!』 「やめちぇええええええええええええ!」 『そんなこといって・・・れいむちゃんってばツンデレさんね!』 そして再び繰り広げられる凄惨な陵辱。 子れいむはあまりにも大きすぎる触手を口内に乱暴にねじ込まれ、今にも窒息しそう。 しかし、実は呼吸をしなくても生きてい行けるともっぱらの噂の彼女達は窒息によって楽になることはありえない。 口内を乱暴にかき回され、思わず餡子を吐き出しそうになるが、汚らわしい触手がそれを許さず、吐き気がずっと留まっている。 「うびぃ・・・うっ・・・」 『さあ、たのしくすっきりするのよ!』 そればかりか、子ゆっくり1匹相手には過剰とも思えるような数の触手が子れいむの頬をさすり、全身に振動を与えてゆく。 うねうねと蠢く触手に弄ばれる子れいむはやがてありすと同時に最初のすっきりを迎え、幼くしてば~じんを失った。 その後も終わることなく嬲られ続け、ものの数分で百回近くすっきりさせられ、アレコレ注がれた子れいむは蔦を生やしたまま黒ずみ、朽ち果てた。 「やべでね!でいぶのおぢびぢゃんごれいじょういぢめないでね!」 『ゆふふ・・・じぶんからすすんでまっさーじだなんてとかいてきなれいむね!』 「おきゃあしゃん・・・がんばっちぇね!」 「おきゃーしゃんがおみゃえをやちゅけてくれりゅよ!」 もはや母にすがるしかない子れいむ2匹は、現実から目を背けて必死に母を応援する。が、当然全く歯が立たない。 れいむが何度体当たりしてもありすは揺るぎもせずに次の子ゆっくりを犯しに取り掛かっている。 が、しかし、犯すばかりの単調作業に飽きたのか、何の前触れもなく、子ゆっくりを握りつぶしてしまった。 「おぢぶぢゃあああああああああああああん!?」 『ゆふふふふ・・・これであなたのいなかもののおちびちゃんはあとひとりよ!』 「ゆぐっ・・・ぐすっ・・・お、おかーしゃぁん・・・」 「おでがいぢまずうう゛う゛ううう゛!なんでぼぢまずがらぼうでいぶのあがぢゃんにひどいごどぢないでええええええ!?」 最後の1匹になってしまった我が子を前に、必死になって許しを請う母れいむ。 それを見た触手ありすは、しばし何かを考え・・・ 『だったらあなたがありすをすっきりさせてね!』 そんなことを口にしながら、母れいむの口内に触手を1本ねじ込む。 妙に臭い触手を咥え、必死に舐めるれいむ。しかし、触手ありすはそれを冷めた目で見つめていた。 なんだ、期待はずれか。 心の中でそう毒づいて、最後の一匹を握りつぶした。 「ゆぐっ!で、でいぶのおぢび、ぢゃん・・・」 『かわいそうね!あなたのてくがいなかものだからしんじゃったわ!』 「ゆっ・・・ご、ごべんね・・・だづげで、あげ・・・ゆっぐ・・・」 物言わぬ饅頭と化した最後の子れいむを前に泣きじゃくる母れいむ。 その悲劇と絶望を田舎モノの三文芝居とせせら笑い、触手ありすは母れいむを叩き潰した。 『あれだけやっておいて最後はアレですか。おお、怖い怖い』 直後、またしてもゆっくりならざるゆっくりが何処からともなく姿を現した。 トナカイのような大きな角に、獅子を髣髴とさせる逞しい肉体、大蛇を髣髴とさせる大蛇に巨大な漆黒の翼、そして紛れもなくゆっくりの下膨れ顔。 目の前に広がる惨状にも眉一つ動かさず、きめぇ丸譲りのニヒルな笑みの張り付いた顔をブンブンとシェイクしている。 『あら、きめら丸じゃない!どうしたのかしら?すっきりしたいの?』 『どうしたのかしら、じゃないでしょう。貴女のお遊びにこれ以上付き合っている暇はありませんよ?』 『ゆゆっ!ゆっくりおもいだしたわ!とかいはなどすとすっきりしにいくのよね!』 『口を開けばすっきりですか。おお、卑猥卑猥・・・などとやっている場合ではありませんね。ティガを待たせていますから急ぎましょう』 2匹は住人のいなくなった巣を後にし、もう1匹の仲間ティガれみりゃと合流し、巨大ゆっかりん達のゆっくり集落へと向かっていった。 『ゆゆっ!何か来るわ!』 『どうも、清く正しくきめら丸です』 『お姉さんはまりさとあのお姉さんを呼んで来てね!』 「・・・んあ?」 突如姿を現したきめら丸と名乗るゆっくりを前に臨戦態勢に入るゆっかりん。 1匹だけこの場に放っておくのも心配ではあったが、目の前にいるきめら丸も人間をはるかに凌ぐ巨饅獣。 地面から頭までの高さだけでも2m近く、体長に至ってはゆっかりんを上回るほど。 こんな奴相手に私が出来ることなんて、饅頭相手にこういうのも癪ではあるが、やはり何一つないだろう。 「・・・わかった」 私は言われるがままにきびすを返し、ゆっくりの集落へと急ぐ。 後ろから、とてもゆっくり同士の喧嘩で出すような音ではない轟音が響いてくるが、振り返ってもしかない。 私はただひたすらゆっくりの集落を目指して疾走した。 異常事態にもつれる足を奮い立たせて何とか集落に到着した。が・・・・・・ 『んほっ!いっぱいいるわ!』 「「「「ごわいよおおおおおお!」」」」 「「「ごっぢごないでね!ぷくううううう!」」」 集落も何処かのおとぎ話から飛び出してきたような化け物に襲撃されていた。 1匹はレイパーありすの変異種だろうか、気色の悪い、おそらくぺにぺにが進化したであろう触手を巣の中へと伸ばしてゆく。 しかも、とにかく馬鹿でかい。他の巨大種よりははるかに小柄だが、それでも2mを超え、触手を含めると5mを軽く超えるだろう。 「やめちぇええええええ!?」 「やめてあげてね!いたがってるよ!」 『とかいはのあ~いをあげましょ~♪』 「わがらないよー!?」 「ちーんっぽ!?」 歌いながら10本の触手を自在に操ってれいむを、まりさを、ありすを、ぱちゅりーを、ちぇんを、みょんを片っ端から絡めとってゆく。 そして、口の中に触手をねじ込み、抜き差しを繰り返しながら快感を貪っている。 助けてやれるものなら助けてやりたい所だが、私が跳び出していってどうにかなるような相手とは思えない。 いかにもなレイパー面をしたそいつに見つからないように急いで木々の間を駆け抜け、ドスまりさの巣に急ぐ。 が、しかし・・・・・・ 『ぎゃお~!たべちゃうぞ~!』 「「でびりゃだああああああああ!」」 『みんな!まりさのうしろにかくれてね!』 ドスの巣の前にもこれまたおかしなゆっくりの姿があった。 一見するとただのれみりゃ変異種のれみりゃザウルスに過ぎないのだが、こいつもやっぱり馬鹿でかい。 ペタン、と座り込んでいるにもかかわらずドスまりさの帽子と同じ高さに顔がある。 立ち上がったらきっと8m以上になるだろう。 「・・・もうやだ、訳がわかんない」 何か頭の悪い夢でも見ているような気分になってきた私は頭を抱えながらドスの後ろに回り込み、彼女の巣の中へ入る。 もちろん、目的は社長。昼間にゆっかりんとドスまりさを容易く一蹴した彼女ならこの事態を確実に打開してくれるだろう。 しかし、私のそんな期待はいとも容易く打ち砕かれることになった。 「・・・こんな状況で平然と寝てるよ」 「zzz・・・zzz・・・」 この社長、何をやっても一向に起きる気配を見せない。 揺すっても、くすぐっても、叩いても・・・は後が怖いので出来なかったが、うんともすんとも言わない。 いくらなんでも寝すぎだろ。そう思いつつ万が一の奇跡にかけてキスもしたがやっぱり無駄だった。 サヨナラ、私のファーストキス・・・いや、いくらなんでもテンパり過ぎだ。 『うるさいんだどぉ~!』 「ゆぎゅ!」「れいぶのおぢびぢゃあああああああん!?」 「もっぢょ・・・ゆっくりいたかった、よ・・・」 『どすぱあああああああああああく!!』 『うぎゃあああああ!いだいんだどぉ~!』 外ではドスまりさとでかいれみりゃザウルスがゆっくりらしからぬ轟音をとどろかせながら大暴れしている。 その轟音が巣の中にまで侵入し、反響して耳を劈く大爆音になる、が・・・やっぱり社長は目を覚まさない。 王子様でも探してこなきゃならんのじゃなかろうか、真剣にそう思い始めたとき・・・ 「おね゛ーざぁん!どずが、ゆっぐぢぢないでにげでねっでい゛っでたよ!」 「・・・ん、ああ」 そう泣き叫びながら私たちの元にやってきたのは昼間私の尻に敷かれたれいむ。 と言われても、このゆっくりを差し置いてこの騒乱の中で惰眠を貪っている馬鹿社長をどうしたものか・・・。 何となく踏み潰されても大丈夫そうな気がしなくもないが、ゆっかりんの攻撃を妙な術を使って受け止めていた以上、多少の怪我はするかもしれない。 それに、あの気色悪いありすにまあなんだ、性的なニュアンスを伴うアレをナニされたりしたら流石に可哀相だ。 などと考えてしまうと放っておく訳にも行かないのだが・・・ 「らん~・・・ごふぁん、まだぁ~・・・・・・?」 その寝言を聞いた瞬間、れいむを抱きかかえ、巣の出入り口に向かって全力で駆け出した。 もう知らん。寝ている間にeraい目にあっても私にゃ関係ない! 一瞬でもあんな変人の心配をしたことを少し後悔しながら、巣から飛び出して森の中へと突っ込んでいった。 『うっう~、もうあきらめるんだど~♪』 『ゆぐぅ・・・ま、まだだよ!まだ、まりさは戦えるよ!』 私はれいむの目と口を塞いだまま、木々の陰に隠れて彼女達の様子を伺う。 巣の入り口付近では2匹の戦闘に巻き込まれた大量のゆっくりが餡子を撒き散らして平らになっていた。 僅かに息があるものも、呻き声を上げるのが精一杯で、どう見てももう助かりそうなものは皆無。 唯一その場でまともに動けるドスまりさも傷だらけでところどころ餡子が露出している。 「う~・・・めんどくさいやつなんだど~!」 『ゆっ!どうしてまりさをやっつけないの?強くてエレガントなれみりゃなら簡単でしょ?』 「そんなのきまってるんだど~!いきてつれてこいっていわれてるからだどぉ~!」 『ゆぅ・・・誰かがまりさを狙っているんだね?』 ただの無駄話・・・というわけでもないようだ。 よく見てみればドスまりさは自分の足元に微弱なゆっくりオーラを展開して体力の回復を図っている。 どうやら、れみりゃの単純な頭を利用して褒めることでおだてつつ、話に乗せているらしい。 しかし、対するれみりゃは四肢一本の欠損すら見られず、多少の擦り傷や火傷以外の外傷が全くなかった。 多少傷が癒えたくらいでどうにかなる相手でないことは、目に見えていた。 『そう・・・まりさがいたせいでこんな風になったんだね・・・』 そう呟き、俯くドスまりさ。 それは違う。その誰かは・・・恐らく人間だ。まりさが居たせいじゃない、これはただの人間のエゴだ。 出来ることなら駆け寄ってそう言ってやりたい。が、飛び出していってもどうにもなるまい。 れいむを抱きかかえたまま、ドスまりさに背を向けて山林の中を駆けていった。 『ゆふんっ!まだいっぴきのこってたのね!』 「うげ、見つかった・・・」 「ゆえええええええん!こわいよおおおおお!?」 私だって怖いっつーの!ついでにレイプ中のこいつらの顔は生理的に受け付けないよ! しかし、怯えるれいむの前でそれを口にするわけにもいかず、決死の逃走を繰り広げる私達の前に立ちはだかる触手ありすを睨む。 見ているだけで不愉快な化け物とは言え所詮は饅頭だ。斧の一つでもあれば何とか対抗できるかも知れないが・・・ 「・・・うへぇ」 彼我の戦力差は圧倒的。そう判断した私は恐らくゆっくり達が舗装した道から、巨体には不利な木々の密集地へと駆け出す。 うねうねと蠢きながら襲い来る触手を必死にかわし、木々を避けながら触手ありすを誘導する。 幸い巨大化していてもゆっくり特有の鈍足は健在、私が全力で走ればある程度距離を稼げる程度の移動速度でしかない。 もっとも、結構な大型のれいむを担いで全力疾走できる距離など知れており、結局追いつかれる羽目になるのだが。 「よしっ!」 『れいむううううううう!ありすがとかいはのあいをあげるわああああああ!!』 とはいえ、そんなことはいくら私でも最初から想定している。 何とか狭い道を選んで木々をバリケード代わりにしながら触手ありすとの距離を保ち、逃げ続ける。 何処へ向かっているかを考える余裕なんてなかったし、そもそも自分が今何処にいるのかも分からない。 ただ、あんなのに捕まりたくない、それにれいむを放っておくわけにもいかない。 その一心だけで木々の隙間を駆け抜けた。 「おねえええざぁん!」 「あーっ、もうっ!五月蝿い!?」 抱きかかえられているれいむは大粒の涙をぼろぼろ零しながらも私の衣服に必死に噛み付いている。 多分人間でいうところのしがみ付くに相当する行動なんだろうが、動きにくくなるので正直鬱陶しい。 それにいい加減腕が疲れてきた。しかし、触手ありすの不快な咆哮がまだ聞こえてくる以上、ここで休むわけにもいかない。 『まぢなざああああい!れいむううううううううう!』 「ごわいよおおおおおおおおお!?」 怖っ!本当に何処の神話の世界から飛び出してきたんだか、あのミュータントは・・・。 とはいえ、上手く通行を阻むことが出来たのか、その声は徐々に小さくなっている。 このままなら何とか逃げ切れるはず。 そう思って安堵した瞬間・・・ 『ゆ゛っ・・・お、おね゛ーさ、ん?!』 『おや、ご自分から戻ってくるとは・・・おお、愚か愚か』 一体、どうすればこんなデカブツを見落とすのかと思うような巨体が2つ。 不運にも瀕死のゆっかりんと、きめら丸に鉢合わせてしまったらしい。 ぼろぼろの体で懸命に這いずってきめら丸と私たちの間に立ちふさがるゆっかりん。 『だべよ・・・おねぁざんはゆっがりんが守る、よ・・・』 彼女がきめら丸に蹂躙される光景を目にした瞬間、頭の中が真っ白になる。 更に絶望的なことに、薄れゆく意識の中で撒いたはずの触手ありすを視界の隅に捉えてしまった。 ゆっくりいじめ系2165 巨大ゆっくりの饗宴(後編)」?に続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4883.html
「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 家の外に一匹のゆっくりがいた これはたしか・・・まりす?まりさ?そんなやつだ ひまなので家に入れてやる 「ゆー!おそらをとんでるみたい〜」 「ありがとうおにいさん!いっしょにゆっくりしようね!」 はいはい 「ゆゆ〜ん!おにいさんがゆっくりしてればまりさもゆっくりできるよ!」 ……んー? ってことは今オレはゆっくりしてないってことか? 「ゆっ!?」 だってオレは普通にしてるぞ?ゆっくりしてないぞ? 「ゆゆゆゆ!?おにいさんゆっくりしてないの!?」 つまり今まりさはゆっくりできてないってことだ 「いみがわがんないよおお!?ゆっくり!?ゆっくりぃ!」 とりあえずさ、まりさくん?そのしゃべりかた全然ゆっくりしてないよね。もっとゆっくりしゃべろう? 「ゆゆ?ゆっくりしゃべればゆっくり・・・」 それがゆっくりってもんだろう? 「ゆ! ゆ っ く り は な す よ !」 「む〜〜〜しゃ、む〜〜〜しゃ、し あ わ せ ー !」 どうだい?ゆっくりできてるかい? 「と っ て も ゆ っ く り で き る よ ! ま り さ は い っ ぱ い た べ た か ら ゆ っ く り お ひ る ね す る ね !」 え?寝るの? それってゆっくりしてないよね 「ゆっぐりぃ!?」 あ、話し方戻った だって、寝るってことは動かないんだろ?とまるんだろ?それじゃ"ゆっくり"じゃないじゃん。うごいてないのは止まってるってことだ 「とまっちゃ・・・ゆっくりしてない・・・うごくよ・・・まりさはゆっくりうごくよ・・・」 話し方もどってやんの まぁゆっくりしていってね! 「ゆひぃ…ゆひぃ…もうつかれたよ…たいようさんもどっかいっちゃったよ…ねむいよ…」 あれ?どうしたんだ止まっちゃって、ゆっくりしてないな 「まりさ…ねたいよ、ゆっくりねたいよ…」 ゆっくりねる?寝ながらゆっくりするのか? 「ねむいよぉ…つがれたよぉ…もうゆっぐりしたくない…」 ゆっくりしたくないの?まぁいいけど じゃあおまえのこと"ゆっくりしないまりさ"とでも呼べばいいのかな? 「ゆ…ゆっくり…しないの、まりさゆっくり、していってね、ねむいの、しないの、ゆっくり、していってね ゆっくりしていってね、ゆっくりしていってね、ゆっくりしていってね、ゆっくりしていってね、……」 あ、壊れた。 まぁ明日ゆっくり料理とかググッてみよう ホアタァ! 「ゆっくりしてい で ぶ ぅ!」 おまけ 翌日、まりさが平然といた 「ゆっくりしていってね!」 あれ?ゆっくりしなくていいの? 「ゆっくりしていってね!なのにどうしてまりさがゆっくりするの?ばかなの?しぬの?」 おお!?開き直った? 「ちわーみかわやでーす」プシュアァァァァァ.... と謎の噴射を起こしながらまりさはどこかへ飛んでいった 一体なんだったんだろう ん? こ、これは昨日のまりさの死骸…どういうことだ!? 「すりかえておいたのさ!」デーンデデーンデデデン!(ry となぜかドアからさっきのまりさが出てきた つまりこいつはまりさの幽霊だったりするのかな? 南無阿弥陀仏 「ぎゃあああああ!!おのれはかったな!らめぇ!とんじゃう!まりさとんじゃうううぅぅぅぅ」 このSSに感想をつける